光明電気鉄道について
光明電気鉄道(こうみょうでんきてつどう)は、かつて
静岡県磐田郡中泉町(現・
磐田市中泉)と浜松市
天竜区二俣町を結ぶ鉄道路線を運営していた
会社です。この鉄道は、新中泉駅から二俣町駅までの約19.8kmを結んでおり、当初は光明村(現在の浜松市
天竜区)船明までの延伸を目指していましたが、計画は実現しませんでした。
設立の背景と運営
光明電気鉄道は、北遠州地域の木材および佐久間地区の鉱山からの鉱石輸送を見込んで設立されました。
会社の理念は、最終的には信州や
日本海側まで延伸するというもので、壮大なビジョンを掲げていましたが、これは資金調達のために大きな希望を語っていたとも考えられています。実際には、計画された終点の船明は
天竜川水運の要所であり、事業側は水運と鉄道を組み合わせて輸送を行うつもりでしたが、積み替えの手間などから古河鉱業からの出資が得られず、うまくいきませんでした。
開業と経営の困難
1928年11月、ようやく一部区間が開業されましたが、開通式典では重苦しい雰囲気が漂っていました。収入が見込めない状態での開業だったため、直後から経営は厳しく、特に最新型の電車を新製するという無理な判断が経営をさらに困難にしました。最終的には東武鉄道からの中古車を借り入れて開業したものの、その後もバスとの競争にさらされ、経営は困窮の一途を辿りました。
廃止と影響
電気料金の滞納による送電停止が最終的な契機となり、全線が運転休止に追い込まれました。
競売の結果、研究者の
高鳥順作が落札したものの、営業を続ける意志がないまま廃止へ向けての手続きが進められました。廃線後、その一部は現在の
鉄道省二俣線の用地として転用され、かつての路線の一部が地域のインフラとして生かされています。
終焉の名残
光明電気鉄道は短命に終わったものの、廃線跡には一部のトンネルや駅跡が残っており、地域の歴史的な資料として現在でも利用されています。また、関連する鉄道の廃止や新たな交通網の発展に影響を与えた要素とも言えるでしょう。
光明電気鉄道は「悲劇の鉄道」「幻の鉄道」としてその名を残し、地域の人々の記憶に刻まれています。