中泉町

中泉町の歴史と変遷

中泉町（なかいずみちょう）は、かつて静岡県西部に存在した自治体で、豊田郡および磐田郡に属していました。現在の磐田市中心部を形成する上で重要な役割を果たし、特に東海道本線磐田駅（旧中泉駅）の所在地として知られています。

地理

中泉町は、今之浦川が流れる地域に位置していました。

歴史

中泉御殿と中泉代官所

中泉には、天正15年（1587年）頃に徳川家康によって中泉御殿が建設されました。1万坪ともいわれる広大な敷地を持ち、徳川家が東海道を往来する際の休憩場所として利用されましたが、寛文10年（1670年）に廃止されました。また、中泉陣屋（中泉代官所）が設置され、遠江国や三河国などの幕府領を管轄する中泉代官の拠点となりました。中泉代官を務めた人物の中には、安政大地震への対応や貧民救済で業績を残した林靏梁がいます。

明治維新後の変革

明治維新によって代官所は廃止され、代わりに静岡藩の奉行が置かれました。明治2年（1869年）1月に初代中泉奉行に任命された前島密は、江戸から移住してきた旧幕臣の支援や、天竜川の水害で困窮した住民を救済するため、近隣の寺院と協力して「中泉救院」を開設しました。前島は後に明治政府に出仕し、近代郵便制度を整備した功績で知られています。磐田駅前には、前島の胸像とともに、当時を再現した郵便ポストが設置されています。

鉄道の開通

東海道本線が開設されると、1889年4月に町内に中泉駅（現在の磐田駅）が開業しました。この駅の用地は、中泉を代表する素封家であり、政治家・社会事業家でもあった青山宙平が提供しました。駅前には、彼の功績を称える顕彰碑が建立されています。

行政区画の変遷

• - 1889年（明治22年）4月1日：町村制の施行により、豊田郡中泉村と山名郡二ノ宮村が合併し、豊田郡中泉町が発足。梅原村と町村組合を結成し、大字中泉に組合役場を設置しました。
• - 1896年（明治29年）4月1日：郡制の施行により、所属郡が磐田郡に変更されました。
• - 1929年（昭和4年）3月1日：梅原村を編入し、町村組合を解消しました。
• - 1940年（昭和15年）11月1日：見付町、西貝村、天竜村と合併して磐田町が発足し、中泉町は廃止されました。

交通

鉄道路線

• - 鉄道省

- 東海道本線：中泉駅（現磐田駅）

• - 光明電気鉄道（1928年 - 1936年）

- 光明電気鉄道線：新中泉駅 - 二之宮駅

• - 中泉合同運送

- 中泉駅（現磐田駅）と池田村を結んだ人車軌道（1932年廃止）

参考文献

• - 角川日本地名大辞典 22 静岡県
• - 磐田市誌編纂委員会『中泉代官』静岡県磐田市/磐田市誌編纂委員会〈磐田市誌シリーズ 6〉、1981年。

関連項目

• - 静岡県の廃止市町[[村]]一覧

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