光武 (元号)

光武（こうぶ、광무、クァンム）は、李氏朝鮮末期から大韓帝国時代にかけて用いられた元号です。1897年8月14日（旧暦）に、それまで使用されていた建陽（けんよう）から改元され、光武元年が始まりました。この改元は、朝鮮が清の冊封体制から脱し、独立国としての新たな出発を示すものでした。

改元の背景には、当時の朝鮮を取り巻く国際情勢がありました。日清戦争で清が敗北し、朝鮮は事実上清の支配から離脱しました。その後、朝鮮国内では、独立国としての威信を高めるため、国号や元号を改めるべきだという意見が高まりました。特に、高宗（コジョン）は、朝鮮の独立と近代化を強く志向しており、その意思が改元に大きく影響しました。

光武という元号は、「光」が明るい未来や希望を象徴し、「武」が力強さや改革への意志を表すと解釈できます。この元号には、朝鮮が過去の束縛から解放され、新しい時代を切り開いていくという強い決意が込められていました。

改元と同時に、国号も「大韓帝国」と改められました。これにより、朝鮮は正式に独立国であることを内外に示しました。高宗は大韓帝国の皇帝として即位し、政治・経済・社会など様々な分野で改革を推進しました。しかし、大韓帝国の時代は長くは続かず、日本の圧力が増大し、1910年には日本に併合されてしまうことになります。

光武の時代は約10年間続きました。この間、大韓帝国は西洋の技術や制度を導入し、近代化を試みましたが、その改革は不十分なものでした。また、国内では政治腐敗や貧富の格差が深刻化し、社会不安が高まりました。

1907年8月2日、光武は隆熙（りゅうき）に改元され、光武の時代は終わりを告げました。しかし、光武の時代は、朝鮮が独立と近代化を志した重要な時期であり、大韓帝国の歴史を語る上で欠かせない出来事です。

光武の主な出来事

1897年8月14日：建陽から光武に改元
1897年10月：国号を大韓帝国と改称
1907年8月2日：隆熙に改元


西暦・干支との対照表


参考文献

『朝鮮史』巻末年表pp.036-037 武田幸男編、山川出版社＜新版世界各国史2＞、2000 ISBN 4-634-41320-5

関連項目

* 元号一覧 (朝鮮))

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