児島湖

児島湖の詳しい概要

児島湖（こじまこ）は、岡山県の南部に広がる人工湖で、面積は約10.9平方キロメートル、貯水量は約1,800万立方メートルを誇ります。この湖は、児島湾の湾奥が締切堤防によって閉じられ、1959年に淡水化されて誕生しました。児島湾の西部が淡水の湖となった背景には、農業用水の確保や、塩害や高潮に悩まされていた地域住民の安全を守る目的がありました。

湖の特性と農業への影響

児島湖はダム湖を除く人造湖としては世界で2番目に広く、貯水量も豊富です。流域一帯には約67万人が生活しており、岡山県の人口の約三分の一がこの地域に集中しています。湖水の塩分濃度は湖が完成した当初は非常に低く、1970年代にはさらに下がり、農業や工業にとっての重要な水源となりました。これにより、約5,140ヘクタールの農地がこの湖の恩恵を受けています。

漁業への影響

しかし、児島湖の淡水化は漁業にとっては大きな影響を及ぼしました。元々、児島湾は塩分濃度が低く、豊富な魚が生息していたため、多様な漁法が存在しましたが、湖の形成に伴う干拓事業により、漁場が喪失し、漁業が衰退する結果となりました。また、児島養貝会社など、明治期から続いていた養殖事業も淡水化の影響で閉鎖を余儀なくされました。

環境問題と水質汚染

第二次世界大戦後の高度経済成長によって、児島湾周辺は急速に住宅地に変貌し、それに伴って流入する河川を通じて湖水が汚染される問題が発生しています。現在、児島湖は日本の湖沼の中でも最も水質汚染が深刻な場所の一つとされ、特に春から夏にかけては悪臭が発生することがあります。このため、児島湖は湖沼水質保全特別措置法に基づく指定湖沼にもなっています。

地理的位置

地理的には、岡山県の南部に位置し、岡山市街地や瀬戸内海にも近いことから、利便性が高い地域と言えます。湖畔にはかつて岡山空港がありましたが、1988年に移転し、現在は岡南飛行場として利用されています。

歴史的背景

児島湖に関する歴史は1951年に始まり、国営の農業水利事業としての建設が進められ、1959年には湖としての姿を整えました。その後、湖沼水質保全計画が複数回にわたって策定されており、環境保全に向けた取り組みが続けられています。

まとめ

児島湖は、その成立背景から現在に至るまで、地域の環境や経済に深く関わってきました。これからも持続可能な利用と環境保全が求められる湖沼として、注目されています。

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