児玉誉士夫

児玉誉士夫 (こだま よしお)

児玉誉士夫（1911年2月18日 - 1984年1月17日）は、日本の右翼運動家であり、戦後の日本政治に大きな影響を与えた人物です。彼は自らCIAエージェントを名乗り、暴力団・錦政会の顧問にまで上り詰めました。太平洋戦争中、海軍航空本部のために物資を調達し、戦後の占領期にはその資材を売って莫大な利益を手にしました。その資金を元に、彼は分裂していた右翼をまとめ上げ、自らを「黒幕」や「フィクサー」と称するに至ります。また、日韓国交正常化交渉にも関与しました。

出生と幼少期

児玉は福島県安達郡本宮町に生まれました。彼の家系は、名族である上杉家の家臣からの養子縁組を経て作り出されたもので、実際の出自は不明です。幼少期は非常に貧しい家庭環境で過ごし、父親と二人三脚の生活を強いられました。7歳で母親を、8歳で親戚の家に預けられ、京城商業専門学校を卒業した後、日本に帰国します。その後、様々な右翼団体に参加し始めました。

右翼活動の展開

1929年、児玉は「建国会」に参加し、18歳で天皇直訴事件に関与し服役。その後、津久井龍雄が主宰する急進愛国党に加わり、さらに日本主義陣営の「全日本愛国者共同闘争協議会」へと活動を広げる中、数々の事件を引き起こします。1932年には、天行会独立青年社事件で再度服役しました。出所後は、満州自治運動や外務省情報部長河相達夫の縁で、中国各地の視察に参加し、参謀本部の嘱託となります。

児玉機関と戦時中の活動

1941年、児玉は海軍航空本部に招かれ、航空機に必要な物資を調達するため「児玉機関」という組織を設立しました。戦時中、彼はタングステンやラジウムなどの戦略物資を調達し、億単位の資金を手にしました。一方で、アメリカ陸軍情報局からも監視されていましたが、陸軍の大物に庇護され、逮捕を免れました。

戦後と政界との繋がり

終戦翌日、大西瀧治郎との親交が深まる中、児玉は新しい日本の建設を訴えました。彼は講和内閣に参与し、連合国軍の命令で逮捕されましたが、後に釈放されます。この頃、彼はCIAとの接触もあったと後に噂されました。

児玉は、朝日新聞が提供した船に乗せて巨額の在留資産を引き上げ、自民党の前身、日本民主党の結党資金を提供しました。

政治的フィクサーとしての位置づけ

児玉は自民党との緊密な関係を築き、岸信介首相時代には、その影響力を行使しました。彼は、政治資金を提供し、政界の黒幕としての地位を確立し、幾度も汚職事件に絡んで圧力をかけていました。1959年には日米安保条約改定の際にも裏方として活躍し、全国の暴力団の調整を試みました。

裏社会とその活動

児玉は、日本最大の右翼団体「全愛会議」を支える指導者の一人として活動。新たに結成された「青年思想研究会」でもリーダーシップを発揮しました。その後、日韓国交正常化の流れの中、朴政権の要人と接触し、日本企業とヤクザのフィクサーとして利益を得るようになりました。

ロッキード事件と最期

児玉はロッキード社の秘密代理人としても知られ、日本政府にF-104の調達を働きかけました。1976年に事件が発覚し、児玉は重篤な病にかかり、逃げるように裁判の出廷を回避。その後、1984年1月に没した時点で彼が関与していた金銭疑惑は、多くの謎を残しました。

影響と評価

児玉誉士夫は、その生涯を通じて日本の裏社会や政界に多大な影響を与えました。彼の活動は日本の戦後政治における多くの問題と絡み合い、評価が分かれる人物となりました。彼に対する評価は今もなお議論を呼び続けています。

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