入来院定極

入来院定極（いりきいん さだよし）は、文政5年（1822年）10月28日、入来院定経の長男としてこの世に生を受けました。入来院氏は薩摩藩の有力な一族であり、定極は28代目の当主として、その家督を継承することになります。

天保7年（1837年）、父である定経の隠居に伴い、定極は家督を相続し、入来領主としての地位を確立しました。領主として、領内の政治や経済に責任を負い、領民の生活を支える重要な役割を担いました。弘化2年（1845年）には、薩摩藩の藩主である島津斉興が領内を巡検した際、入来の地でこれを迎えました。このことは、定極が藩内において一定の地位を占めていたことを示しています。

弘化4年（1847年）、定極は孝明天皇の即位式に際し、御礼使として上京するという重要な役目を担いました。これは、藩を代表して天皇に謁見する名誉ある任務であり、定極の政治的な手腕と家柄が評価された結果と言えるでしょう。しかし、その後の定極の運命は、藩政を巡る厳しい現実に直面することとなります。

安政元年（1854年）、藩主である島津斉彬から、定極は領内の苛政を咎められ、蟄居という厳しい処分を受けることになりました。この処分は、単に定極個人の問題ではなく、藩の政治体制や領民の生活に大きな影響を与える出来事でした。さらに、この一件により、定極の家臣の中には切腹を命じられる者もおり、入来院家全体に大きな衝撃が走りました。失意の中、定極は島津柄山の三男である公寛を養子に迎え、家督を譲り、第一線を退くことになります。

明治30年（1897年）3月27日、入来院定極は波乱に満ちた生涯を終えました。その生涯は、藩政の動向と深く結びついており、時代の変化に翻弄されながらも、入来院家を支え続けた人物として、歴史に名を刻んでいます。参考文献として「入来村史」が挙げられます。

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