入来院定矩

入来院定矩（いりきいん さだのり）は、江戸時代後期に活躍した薩摩藩の武士であり、薩摩入来領の領主、入来院氏の26代目当主として知られています。彼の生涯は、わずか17年という短いものでしたが、その間、藩政において重要な役割を果たしました。

定矩は、天明4年（1784年）8月5日に、島津氏の家臣である入来院定馨の息子として誕生しました。同年、父の死去に伴い家督を相続し、薩摩入来領の領主となりました。この時、定矩はまだ幼少でしたが、入来院氏の家督を継承することになったのです。

寛政4年（1792年）には、藩主である島津斉宣の加冠により元服し、正式に武士としての道を歩み始めました。翌年の寛政5年（1793年）には、明時館の火消役を任ぜられ、藩の消防活動に携わることになりました。同年、下町で発生した火災が明時館に延焼する危機に際し、定矩は家臣たちと協力して見事に火災を防ぎました。この功績により、彼は消防活動における貢献を高く評価され、賞賛を受けました。

しかし、定矩は寛政12年（1800年）3月15日、わずか17歳という若さでこの世を去りました。彼の早すぎる死は、多くの人々に惜しまれました。定矩の死後、入来院氏の家督は、親族間の協議の結果、重富島津家2代当主である島津忠救の三男、麻袈裟（後の定経）が養子として迎えられ、相続することになりました。定矩の短い生涯は、入来院氏の歴史において重要な出来事として記録されています。

参考文献として、「入来村史」が挙げられます。この資料には、入来院定矩に関する詳細な情報が記録されており、彼の生涯や業績をより深く理解するための手がかりとなります。

入来院定矩の生涯は、その短さにもかかわらず、薩摩藩における武士の役割、家督相続、そして消防活動といった、当時の社会における重要な側面を反映しています。彼の物語は、歴史を学ぶ上で重要な教訓を与えてくれるでしょう。

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