島津忠救

島津忠救（しまづ ただすく）

島津忠救は、江戸時代後期に活躍した薩摩藩士であり、重富島津家の二代目当主として知られています。また、越前島津家の17代当主であり、始羅郡重富郷の領主でもありました。

生涯

明和元年（1764年）9月19日、薩摩藩主一門である重富島津忠紀の長男として誕生しました。母は樺山久初の娘であるお三です。しかし、忠救は幼くして父を亡くし、明和3年（1766年）6月、わずか3歳で家督を相続することになりました。

安永2年（1773年）には、藩主の島津重豪から鶴江崎下屋敷（別荘）を拝領しています。これは、忠救が藩主から信頼されていたこと、そしてその家柄の重要性を示す出来事と言えるでしょう。天明元年（1781年）には、垂水島津貴澄の娘であるお道と結婚し、家庭を築きました。

寛政11年（1799年）には、下屋敷に藩主の島津斉宣が訪問し、その際、下屋敷は「領海亭」と名付けられました。藩主自らが訪問し、命名するという事実は、忠救の地位の高さと、藩における影響力を示しています。享和元年（1801年）11月28日、忠救は隠居し、家督を忠寛（忠貫）に譲り、自身は「鶴遊」と号しました。文政10年（1827年）6月10日、64歳でその生涯を終えました。

文化交流と史料

国立歴史民俗博物館が所蔵する越前島津家文書には、興味深い史料が残されています。それは、「島津周防」宛の琉球王尚穆（在位：1752年 - 1794年）の書状です。この書状の存在から、周防を名乗っていた忠救の父、忠紀、もしくは忠救自身が、琉球王と交流を持っていたことがわかります。この事実は、当時の薩摩藩が琉球王国との間に独自の外交関係を築いていたことを示す貴重な証拠です。

さらに、2007年には、鹿児島大学付属図書館が所蔵する玉里文庫の誠忠武鑑の裏打ち紙から、忠救に仕えた奥祐筆の日記が発見されました。この日記は、当時の藩士の生活や思想を知る上で重要な資料となります。

まとめ

島津忠救は、薩摩藩の有力な藩士であり、重富島津家の当主として、藩政において重要な役割を担いました。幼少期に家督を継ぎ、藩主との親密な関係を築き、琉球王国との交流があったことが史料から明らかになっています。また、文化人としての側面も持ち合わせており、その生涯は多くの研究者によって関心が持たれています。

参考文献

『越前（重富）島津家の歴史』（姶良町歴史民俗資料館　2004年）
『越前島津氏－その事歴と系譜』（杉本雅人/著　2010年）
『越前島津正統略系　草稿』（臼井徹/編）
林匡「島津氏一門家の成立--越前(重富)島津家を中心に」
* 国立歴史民俗博物館 歴史系総合誌「歴博」第194号 「越前島津家文書」に伝わる琉球国王の書状

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