入江禎

生い立ちとヤクザの世界へ

入江禎は1944年12月9日に愛媛県宇和島市で生まれました。高校を中退後、賭博の世界に足を踏み入れ、その過程で暴力団員となりました。この時期は、後の彼のヤクザとしてのキャリアの基盤を築くことになります。

宅見組組長としての台頭

1997年、初代宅見組組長であった宅見勝が暗殺されるという事件が発生し、入江禎はその後を継いで二代目宅見組の組長に就任しました。この就任と同時に、入江は上部団体である山口組の直参となり、組織内での地位を確立しました。

六代目山口組が司忍をトップに発足すると、入江は山口組の最高幹部の一人である総本部長に就任。この役職は、山口組において若頭の高山清司に次ぐ、実質的なナンバー3としての地位を意味していました。山口組内での大きな影響力を持つ人物として、その名を知られることになります。

逮捕と組織の動揺

2010年、高山清司が逮捕された直後、入江も暴力団対策法違反の容疑で大阪府警に逮捕されました。この逮捕は、宅見組組員が犯した殺人事件に関与した家族への資金提供が理由であり、組織内での賞揚等禁止命令違反に問われたものでした。

当時、山口組のトップである司忍が服役中であり、ナンバー2の高山清司も収監されていたため、入江の逮捕は山口組のトップ3が一時的に不在になるという異例の事態を引き起こしました。この事件は、山口組の組織運営に大きな影響を与えたと言えます。

翌年2011年、入江は懲役10ヶ月、執行猶予3年の有罪判決を受けました。

2013年には、8年以上務めた総本部長の役職を辞任し、舎弟頭となりました。

神戸山口組への移籍とその後

2015年、入江は六代目山口組を離脱し、井上邦雄や寺岡修らとともに新たな組織である神戸山口組を結成しました。入江は神戸山口組で副組長という要職に就任しましたが、この行動により六代目山口組から絶縁処分を受けることとなります。

しかし、2022年には神戸山口組からも除籍され、その後の動向は不明確です。

米国による制裁

入江の活動は日本国内だけでなく、国際的にも注目されることとなりました。2013年、アメリカ財務省は入江を、国際的な犯罪組織の支援者として認定し、国際緊急経済権限法に基づき、アメリカ国内での資産凍結やアメリカ国民との取引を禁止する制裁対象としました。

この制裁は、入江が国際的な犯罪組織に関与している可能性を示唆しており、彼の行動が国際社会にも影響を及ぼしていることを示しています。

まとめ

入江禎は、その生涯を通じてヤクザの世界でのし上がり、重要な地位を歴任した人物です。しかし、組織内での対立や法的な制裁、そして国際的な注目を浴びるなど、その経歴は複雑であり、ヤクザ社会の現実を物語るものと言えるでしょう。彼の足跡は、暴力団組織の歴史と変遷を研究する上で、重要な事例として捉えられるべきです。

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