入破音

入破音について

入破音（にゅうはおん、英: implosive）は、音声学において特定の子音のカテゴリーに属する音です。この音は、主に喉頭の動きや声帯の振動によって生み出される特有の気流メカニズムによって特徴づけられます。入破音は、発声過程において非肺気流機構を用いるため、通常の放出音や吸着音とは異なる特性を持っています。

調音過程

入破音を発音する際には、喉頭の上部において気流の閉鎖が形成されます。声帯は振動が可能な位置に保たれ、喉頭を急に押し下げることで口腔内の気圧が下がります。この変化によって、声門下の空気が上方向に流れ、声帯が振動して声が生まれます。外部の気圧との差によって、調音点での閉鎖が開放され、内向きの気流が生成されるのです。

特徴と課題

入破音では、口の中で完全な閉鎖を作る必要があるため、他の音との連携が難しい場合があります。このような摩擦音的な調音は制限されがちです。なお、入破音という用語は英語では「implosive」と表現され、国内外で聞かれることがありますが、内破音とは異なる音であるため、混同しないよう注意が求められます。

言語における入破音

この子音は、多くの言語において音素の一部として重要な役割を果たしています。特にシンド語、アフリカのナイル・サハラ語族、ニジェール・コンゴ語族の言語などでは、破裂音との対立が見られます。また、ベトナム語やチワン語などの言語では、通常の破裂音の代わりに両唇入破音や歯茎入破音が使われることがありますが、これらはあくまで異音であり、意味を明確に区別するためのものではありません。

無声入破音

無声の入破音は、理論上発音は可能ですが、空気力学的な理由から、通常は有声で発声されます。しかし、西アフリカのセレール語といった特定の言語では無声入破音が使用されています。無声の入破音のために1989年に国際音声記号が提案されましたが、1993年には廃止されています。

国際音声記号における入破音

入破音に関して、国際音声記号（IPA）では以下のように表現されます。

• - [ɓ] - 両唇入破音
• - [ɗ] - 歯茎入破音（歯入破音）
• - [ʄ] - 硬口蓋入破音
• - [ɠ] - 軟口蓋入破音
• - [ʛ] - 口蓋垂入破音

加えて、現行のIPAには含まれていないが、[ᶑ]（そり舌入破音）なども時折見受けられます。

結論

入破音は音声学上、非常に興味深い構造を持つ音の一つで、特にその調音法と発音方法には多くの研究がなされています。入破音の機能や発音に関する知識は、言語学や音声学の理解を深めることに寄与するでしょう。

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