入間川清藏

入間川 清藏

入間川 清藏（いるまがわ せいぞう）は、江戸時代末期の天保15年（1844年）4月3日に、現在の埼玉県北葛飾郡杉戸町にあたる下総国葛飾郡に生まれた大相撲力士です。明治時代に活躍し、最高位は幕内における東前頭七枚目まで昇進しました。昭和3年（1928年）4月12日に84歳で死去しています。

経歴

彼の相撲人生は、明治維新後の1871年（明治4年）3月場所に始まりました。当初は入間川部屋に所属していましたが、後に錣山部屋に移籍し、最終的には再び入間川部屋に戻っています。

番付を駆け上がり、1876年（明治9年）の正月場所で新十両、そして1879年（明治12年）正月場所では新入幕を果たしました。この年に、力士としてのキャリアにおける特筆すべき出来事があります。同年6月場所において、まだ現役の地位にありながら、年寄名跡である入間川を襲名したのです。これは当時の相撲界では稀な事例でした。

現役時代の体格は身長164cm、体重90kgと比較的小柄でしたが、得意手は相手を土俵際まで力強く押していく「寄り」や、相手の足元を狙う「蹴手繰り」でした。これらの技を駆使して、自身より大きな相手にも立ち向かったことでしょう。

主な成績

入間川 清藏の主な成績は以下の通りです。

幕内: 7場所を務め、12勝27敗。その他に14の引き分け、1の預かり、17の休場があります。
十両: 13場所で土俵を務め、43勝38敗。その他に10の引き分け、3の預かりがあります。

幕内での勝利数は伸び悩んだものの、十両では勝ち越しを多く記録し、安定した成績を残しています。

四股名変遷

彼の力士人生において、いくつかの四股名を名乗りました。

いなり嵜（いなりざき）: 初期の四股名とされています。
稲瀬川 清助（いなせがわ きよすけ）: 1876年正月場所から名乗りました。
* 入間川 清藏（いるまがわ せいぞう）: 1879年6月場所、年寄名跡襲名と同時にこの四股名に改めました。

引退後

1885年（明治18年）5月場所限りで現役を引退した後、入間川 清藏は年寄専務として日本相撲協会（当時は東京相撲）の運営に携わりながら、後進の指導に情熱を注ぎました。彼の育成した弟子の中には、後に稲瀬川栄治郎として活躍した力士や、第11代入間川を襲名した有村直吉などがいました。彼は長年にわたり相撲界に貢献しましたが、1909年（明治42年）12月をもって年寄を廃業しました。

相撲界を離れた後も穏やかな晩年を過ごしたとみられ、昭和3年（1928年）4月12日、84歳でその生涯を終えました。

このように、入間川 清藏は明治期における相撲界において、力士としてだけでなく、年寄としても重要な役割を果たし、その後の相撲界に影響を与えた人物の一人と言えるでしょう。

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