全国ろう児をもつ親の会

全国ろう児をもつ親の会とは

全国ろう児をもつ親の会は、聴覚障害を持つ子どもたち、特に「ろう児」の教育における言語権を重視し、その権利擁護を目的として活動するNPO法人です。医学的な聴覚障害の程度や発症時期は様々ですが、同会は、音声言語獲得以前に重度の聴覚障害を持った子どもたち（ろう児）にとって、手話が第一言語となり得るという立場を取っています。

主な活動内容

同会の活動は多岐にわたりますが、主なものとして以下の点が挙げられます。

情報発信: インターネットを通じて、ろう児の教育に関する情報や同会の主張を広く発信しています。
出版活動: 同会の理念や活動内容をまとめた書籍を多数出版し、社会への啓発を行っています。
人権救済申立: ろう児の教育を受ける権利、学習権、平等権が侵害されているとして、日弁連に人権救済を申し立てるなどの活動を行っています。

ろう児の言語権について

同会は、ろう児にとって日本手話が重要な言語であり、ろう教育において日本手話が十分に活用されていない現状に問題意識を持っています。そのため、以下の目標を掲げ、その実現に向けて活動しています。

1. ろう学校における教育言語として日本手話を認知・承認させること
2. ろう者の教員を各ろう学校に配置させること
3. 聴者教員に日本手話を定期的、継続的に研修させること
4. バイリンガルろう教育を選択できるようにすること

これらの目標は、ろう児が手話を第一言語として学び、同時に日本語の読み書き能力も習得することで、社会参加の機会を広げることを目指すものです。

人権救済申立の詳細

2002年に同会は「ろう児の人権宣言」を発表し、翌年には日弁連に対し人権救済申立を行いました。この申立では、全国の公立ろう学校に日本手話話者教員を配置することや、教員養成課程でろう学校教員を目指す者に対して日本手話の実技・理論科目を必修とすることなどを求めています。この申立を受け、2005年には日弁連が「手話教育の充実をもとめる意見書」を発表しました。

全日本ろうあ連盟との関係

同会の活動は、全日本ろうあ連盟からも一定の理解を得ていますが、手話の分類方法（日本手話と日本語対応手話の区別）など、一部の点においては見解の相違も見られます。

主な書籍

同会が関わった主な書籍としては、以下のようなものがあります。

全国ろう児をもつ親の会編『ぼくたちのことばを奪わないで〜ろう児の人権宣言〜』2003年、明石書店
小嶋勇監修・全国ろう児をもつ親の会編『ろう教育と言語権〜ろう児の人権救済申立の全容〜』2004年、明石書店
小嶋勇監修・全国ろう児をもつ親の会編『ようこそ　ろうの赤ちゃん』2005年、三省堂
小嶋勇監修・全国ろう児をもつ親の会編『ろう教育が変わる！－日弁連「意見書」とバイリンガル教育への提言－』2006年、明石書店
佐々木倫子監修・全国ろう児をもつ親の会編『バイリンガルでろう児は育つ：日本手話プラス書記日本語で教育を！』2008年、生活書院

まとめ

全国ろう児をもつ親の会は、ろう児の言語権保障という重要なテーマに取り組む団体です。その活動は、ろう教育のあり方について社会に問題を提起し、より良い教育環境の実現に貢献しています。

外部リンク:
全国ろう児をもつ親の会
全国ろう児をもつ親の会（旧）

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