全国ヤング歌謡フェスティバル

全国ヤング歌謡フェスティバル：若き才能の発掘と音楽シーンを彩った番組

1969年10月4日から1970年5月9日にかけて、TBS系列で放送された『全国ヤング歌謡フェスティバル』は、明治製菓（現・明治）の一社提供、渡辺プロダクション主催による音楽番組でした。毎週土曜19時～19時30分の放送枠を獲得し、多くの視聴者を魅了しました。同時に、ニッポン放送制作のラジオ番組もNRN系列で放送され、テレビとラジオで同時展開された点が特徴的です。ラジオ放送は毎週月曜日から土曜日19時45分～20時00分に放送されました。

番組の目的は、将来を嘱望される若手歌手とヒット曲を世に送り出すことでした。約60組の歌手を3ヶ月に渡り紹介し、全国からの視聴者投票を募るという、当時としては画期的な視聴者参加型のシステムが採り入れられていました。そして、1970年5月9日には、日本万国博覧会の万国博ホールでグランプリ決定をかけた盛大なイベントが開催されました。作詞家、作曲家、歌手など30名が、視聴者投票によって選ばれた精鋭たちでした。

番組の人気は高く、終了後も1970年10月から1971年5月にかけて『全国ヤング歌謡フェスティバル』第2回が日本武道館などを会場に開催され、放送されました。

司会者も番組の魅力を語る上で欠かせない要素です。第1回では、1969年12月までは目黒祐樹さんと沢田雅美さんが務め、1970年1月からはハナ肇さんと吉村実子さんがバトンを受け継ぎました。第2回は、堺正章さんと井上順さん（当時井上順之）が司会を務めました。

番組の初回放送日は、土曜20時枠で『8時だョ!全員集合』がスタートした日と重なっていました。毎日新聞夕刊には、『全国ヤング歌謡フェスティバル』、『8時だョ!全員集合』、そして土曜22時枠のドラマ『魔像・十七の首』の3番組合同の宣伝広告が掲載されるなど、大きな話題となりました。

放送方法は当初、各地のホールでの公開録画形式でしたが、司会者がハナ肇さんと吉村実子さんへと交代したのを機に、スタジオ収録へと移行しました。

興味深い点として、TBSの土曜19時枠における明治製菓の一社提供番組は、1963年12月まで放送されていた海外人形劇『ウエスタン・マリオネット 魔法のけん銃』以来でした。そして、『全国ヤング歌謡フェスティバル』は、この時間帯における明治製菓の一社提供番組としては最後の番組となりました。

テレビ版はTBSを制作局とし、朝日放送、新潟放送、北陸放送、中部日本放送などがネット局として参加しました。ラジオ版はニッポン放送が制作局となり、毎日放送などがネット局として番組を放送しました。

番組は、遠藤淳氏がテレビ版とラジオ版の放送作家として携わっていました。テレビとラジオ、異なる収録場所と放送内容ながら、一貫した番組の世界観を作り上げていた手腕は注目に値します。

『全国ヤング歌謡フェスティバル』は、単なる音楽番組にとどまらず、多くの若手歌手の登竜門となり、日本の音楽シーンに大きな影響を与えた番組であったと言えるでしょう。視聴者参加型のシステムや、テレビとラジオでの同時放送など、先進的な試みも数多く取り入れられていました。その功績は、日本の音楽史に刻まれるべきものと言えるでしょう。

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