全国部落解放運動連合会

全国部落解放運動連合会（全解連）とは

全国部落解放運動連合会（ぜんこくぶらくかいほううんどうれんごうかい）、通常は全解連と呼ばれるこの団体は、部落解放同盟から派生した同和団体です。1960年代後半、部落解放同盟の内部では、さまざまな方針に対する意見の対立が激しくなっていました。この流れの中で、共産党員やその支持者が数多く在籍していた一部支部は、同盟中央の指示に従わず、独自の組織を立ち上げることとなりました。

1969年には部落解放同盟正常化全国連絡会議（正常化連）が設立され、これは部落解放同盟とは別組織として機能しました。正常化連は、当時の部落解放同盟の組織員の約三分の一に相当する1万3,000人が参加していました。その幹部の多くは共産党員であり、外部からは「共産党が指導している」と見られることもありましたが、正常化連は自身の独立性を強調し、さまざまな政党との協力も模索していました。

正常化連は、政府関係者や政治家との関係構築にも努め、部落解放問題の解決を図ろうとがんばっていました。また、『解放の道』という機関紙を月2回発行し、組織の活動情報を発信しました。そして、1976年に全解連として新たに組織が再編成され、約5万6,000人の会員と2万人の機関紙読者を抱えるに至ります。

全解連は、部落差別問題の解決に向けて取り組む一方、部落解放同盟や全日本同和会に対しては批判的な立場を取っていました。特に、部落解放同盟の行動については「部落排外主義的」として強く批判し、自団体としての相互理解と連帯の重要性を訴えました。しかし、全解連が実施する糾弾活動もあったため、内部の矛盾が浮き彫りになっていました。1980年代には、「糾弾は教育的効果がない」とする決議を公式に出すなど、方向性を変えていきます。

また、全解連は、同和控除や地方公共料金の減免に反対し、地域住民との共生を目指す草の根的な運動を展開しました。しかし、これらの方針は時折議論を呼び、時代に応じた柔軟な対応を求められることとなります。

2004年には「部落問題は基本的に解決した」との見解を示し、運動の終結を宣言。その後、全国地域人権運動総連合（全国人権連）が設立され、全解連は事実上解散しました。部落解放問題の歴史において、全解連の活動は一つの重要な足跡となっています。

全解連と部落解放同盟の間には、互いに相手を否定するような表現が使われることがありました。部落解放同盟は全解連を「自称全国部落解放運動連合会」として批判し、全解連も部落解放同盟を「解同」という略称で表記するなど、それぞれの立場を強調する結果となりました。この対立は、同和問題解決への道筋において重要な要素となっていたことでしょう。全解連の活動の歴史は、地域社会における人権運動やその成否について考える上で欠かせない視点を提供しています。

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