全国高等学校野球選手権福島大会

全国高等学校野球選手権福島大会は、「夏の甲子園」として広く知られる全国高等学校野球選手権大会への出場権を争う、福島県で開催される地方大会です。その歴史は古く、多くの球児たちの熱戦の舞台となってきました。

大会の歩み

本大会の「前史」とも言える期間は、1916年（第2回大会）から1972年（第54回大会）までさかのぼります。この間、福島県勢は現在の地方大会ではなく、他の東北各県と共に東北大会の一員として全国大会への道を模索していました。ただし、特別な記念大会（第40回、第45回、第50回）では一県一代表制が採用され、単独での全国大会出場が認められた時期もありました。また、第27回大会は地方大会自体が中止となっています。東北大会時代を通じて、福島県勢が優勝旗を手にしたのは8回に留まります。全国大会出場を、同じ東北大会に参加していた他県勢によって阻まれた回数は41回に及び、これは滋賀県（50回）、三重県・徳島県（42回）に次いで4番目に多い記録です。

現在の福島大会として独立して行われるようになってからも、多くのドラマが生まれています。

開催球場

大会は福島県内の複数の球場を使用して行われます。主要な開催地としては、福島県営あづま球場（県北）、郡山市営開成山野球場（ヨーク開成山スタジアム・県中）、いわきグリーンスタジアム（いわき地区）などが挙げられ、これらの球場がメイン会場として持ち回りで使用されています。その他にも、信夫ヶ丘球場（福島市）、しらさわグリーンパーク野球場（楽天イーグルスグリーンパーク本宮）、平野球場、白河グリーンスタジアム、表郷天狗山球場、あいづ球場、鶴沼球場など、県内の各地区にある多様な球場が使用されています。ただし、全ての球場が毎年使用されるわけではなく、大会の進行状況や組み合わせによって使用される球場は変わります。

選手の移動による負担を軽減するため、1999年からは対戦カードが決定した後に1・2回戦の日時と球場を決める「球場後日決定方式」が導入されました。1・2回戦は県内を5地区に分け、各地区から1つずつ選ばれた合計5球場で行われます。同じ地区のチーム同士が対戦する場合は、原則としてその地元の球場が使用されます（ただし、相双地区には使用可能な球場がないため、同地区同士の対戦はいわき地区または県北地区の球場で行われます）。その他の試合の会場は、前年度の秋季大会や春季大会の成績に応じたポイントに基づいて決定される仕組みです。2003年以降は、3回戦についても同様の方式が適用され、対戦カードに応じて5地区から6～7球場が使用されます。大会終盤となる4回戦（2002年までは3回戦）以降は、メインおよびサブメインとして選ばれた2地区の合計4球場に絞って試合が行われます。ちなみに、1998年以前は、この終盤に使用される4球場のみで、1回戦から全ての試合が開催されていました。

大会運営

大会に参加する学校数のカウントにおいては、複数の高校による「連合チーム」も1校として数えられています。

メディアによる中継

大会の模様は複数の放送局によって中継されます。福島放送（KFB）は開会式の生中継に加え、メイン球場で行われる試合を中継しており、現在は主に3回戦以降が対象ですが、過去には4回戦から（2013年）や1回戦から（2002年まで）の中継実績があります。1998年まではメインとサブメインの球場を二元中継する体制もとられていました。また、2002年と2003年には同局のウェブサイトでインターネット中継が試みられ、2016年からは放送時間外の試合配信も行われています。

NHK福島放送局は、テレビとラジオの両方で大会を中継しています。準決勝と決勝を中心に放送しており、ラジオ中継の対象は時期によって変遷が見られます（2012年までは3回戦以降、2013年は準決勝以降、2016年と2019年は準々決勝以降など）。ただし、2021年にはテレビでの決勝のみ中継し、ラジオ中継は実施されませんでした。

ラジオ福島（rfc）も大会中継を行っており、2009年からは決勝戦を中継しています。中継形態には様々な変化があり、2014年・2015年・2017年にはUstreamでの配信がメインで地上波は通常番組となるケース、2019年には地上波とYoutubeでの同時中継、そして2023年には準決勝と決勝が配信の対象となるなど、新しい技術を取り入れた試みも行われています。

特筆すべき対応

2011年には、東日本大震災および福島第一原子力発電所事故の影響により、特別な対応がとられました。被災し、単独での練習が困難となった双葉翔陽高校、富岡高校、相馬農業高校の3校は、「相双連合」という合同チームを結成して本大会に参加しました（結果は1回戦敗退）。また、放射線量のモニタリングも行われ、各球場で試合当日の早朝に測定を実施し、毎時3.8マイクロシーベルト以上の数値が検出された場合は試合を中止するという基準が設けられましたが、幸いにも実際に該当するケースはありませんでした。

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