全日本無産者芸術連盟

全日本無産者芸術連盟について

全日本無産者芸術連盟（以下、ナップ）は、日本におけるプロレタリア文学および芸術運動を推進するための組織です。1927年、プロレタリア文学運動は3つの団体（プロ芸、労芸、前芸）に分裂しており、それぞれが対立していました。この混乱を解消するために、蔵原惟人は1928年に連携を呼びかけ、日本左翼文芸家総連合が形成されました。しかし、直後に発生した三・一五事件により、日本共産党への弾圧が強まり、共産党と距離を取っていた労芸は連携に消極的となったのです。

一方、プロ芸と前芸は弾圧を受けたことで、分裂を解消する動きが強まりました。こうして、全日本無産者芸術連盟が成立することとなります。ナップは機関誌『戦旗』を発刊し、プロレタリア文学の代表的な雑誌として広く読まれるようになりました。後に、機関誌の役割を再定義し、より広範な啓蒙活動を行うために『ナップ』という新たな機関誌が創刊されました。この『ナップ』は、1930年9月から発行を開始し、引き続きプロレタリア文学の作品発表の場とされました。

『ナップ』には、多くの新進作家の作品が掲載されています。たとえば、須井一（谷口善太郎）の「綿」、鈴木清の「監房細胞」、手塚英孝の「虱」などがその例です。1930年12月には、組織の構成を少し変更し、全日本無産者芸術団体協議会という名称に改め、以下に示すさまざまな専門分野に特化した組織を充実させる方向を取ります。

• - 日本プロレタリア作家同盟（ナルプ）
• - 日本プロレタリア劇場同盟（プロット） （後に演劇同盟と改称）
• - 日本プロレタリア映画同盟（プロキノ）
• - 日本プロレタリア美術家同盟（ヤップ）
• - 日本プロレタリア音楽家同盟（PM）

後に日本プロレタリア写真同盟（プロフォト）も加わることになります。また、1930年には蔵原がひそかにソ連に渡り、プロフィンテルンの会議に参加しました。その帰国後、彼は新たに文化運動全体を組織化する必要性を提唱し、日本プロレタリア文化連盟（コップ）の結成へと動きました。この過程で、ナップは発展的に解消されることとなります。

雑誌『ナップ』も、1931年11月号で終刊を迎えました。この一連の出来事は、プロレタリア文学だけでなく、日本の文化運動全体に大きな影響を与えました。ナップの活動を通じて、多くの作家や芸術家たちが新たな道を模索し、その後の日本の文学や芸術に新しい風を吹き込みました。

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