日本プロレタリア映画同盟

日本プロレタリア映画同盟（プロキノ）とは

日本プロレタリア映画同盟（にほんプロレタリアえいがどうめい、エスペラント語:Japana Prolet−Kino Unio）、通称「プロキノ」は、1929年から1934年まで存在した日本の映画製作・上映団体です。プロキノは、労働者階級の視点から社会変革を目指す映画を製作し、当時の社会運動と深く結びついていました。

プロキノの誕生と活動

プロキノは、全日本無産者芸術連盟（ナップ）の傘下組織として設立されました。ナップは、日本共産党の影響下にあった芸術運動団体であり、プロキノもその影響を強く受けていました。プロキノは、メーデーや労働組合運動、労働農民党の山本宣治代議士の葬儀など、当時の社会運動の様子を記録映画として製作しました。また、アニメーション製作や巡回映画会など、当時としては先駆的な活動も行っていました。

プロキノの活動は、映画製作だけでなく、機関誌の発行も重要な役割を果たしました。『新興映画』や『プロレタリア映画』といった雑誌を通じて、プロキノの理念や活動内容が広く伝えられました。これらの雑誌は、プロキノのメンバーだけでなく、多くの映画関係者や社会運動家にとって貴重な情報源となりました。

プロキノの解散とその後

プロキノは、度重なるメンバーの検挙により、1934年に解散を余儀なくされました。しかし、プロキノの活動は、その後の日本映画界に大きな影響を与えました。プロキノのメンバーの中には、戦後のアニメーション映画や記録映画、教育映画の分野で活躍した人々も多くいました。彼らの活動は、日本映画の多様性を広げ、その発展に大きく貢献しました。

プロキノと商業映画

プロキノの活動に参加していた人々の中には、後に商業映画の世界で活躍する人も少なくありませんでした。松崎啓次のように東宝の文化映画課長や中華電影公司製作部長になったり、能登節雄のようにPCL（後の東宝）に入社する者もいました。また、瀬尾光世のようにアニメーターとして松竹に所属したり、田中喜次のように電通映画社で働く者もいました。プロキノで培われた経験や技術は、商業映画の世界でも大いに活かされました。

プロキノと日本共産党

プロキノは、日本共産党の指導下にあった全日本無産者芸術団体協議会（ナップ）の傘下で活動していたため、その活動は日本共産党の方針に強く影響を受けました。そのため、多くの活動家が治安維持法違反容疑で検挙されるなど、厳しい状況に置かれました。しかし、その活動は、プロレタリア文学や社会運動に大きな影響を与え、日本の社会変革運動の一翼を担いました。

プロキノの沿革

プロキノの活動は、1927年に佐々元十がプロレタリア劇場内にプロレタリア映画班を設立したことに始まります。1929年には、佐々元十、岩崎昶、北川鉄夫らによって日本プロレタリア映画同盟が結成されました。プロキノは、労働運動や社会運動の記録映画を数多く製作し、その活動は全国に広がりました。

1927年: 佐々元十がプロレタリア劇場内にプロレタリア映画班を設立。
1928年: プロレタリア劇場映画班が左翼劇場映画部となる。
1929年: 佐々元十、岩崎昶、北川鉄夫らによって日本プロレタリア映画同盟が結成。
1930年: プロレタリア映画雑誌「新興映画」を発刊。
1931年: アニメーション映画『三匹の小熊さん』を製作。
1934年: プロキノ解散。

プロキノに関わった主な人物

プロキノには、多くの映画人や文化人が関わっていました。以下に、主な人物を挙げます。

岩崎昶
厚木たか
井上莞
佐々元十
北川鉄夫
並木晋作
松崎啓次
木村荘十二
中島信
能登節雄
篠勝三
山本薩夫
瀬尾光世
田中喜次
山内光（岡田桑三）
上野耕三
今東光
木村白山

プロキノは、短期間の活動でしたが、その後の日本映画界に大きな影響を与えました。プロキノの活動は、社会変革を目指す映画製作の原点として、今もなお多くの人々に記憶されています。

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