戦旗

『戦旗』とは

『戦旗』は、1928年5月から1931年12月にかけて刊行された日本の文芸[[雑誌]]です。全41号が発行され、プロレタリア[[文学]]の作品を掲載する重要な舞台となっていました。

歴史的背景

1920年代後半、日本のプロレタリア[[文学]]運動は複数の団体が乱立していました。その中で、日本共産党の影響下にあった日本プロレタリア芸術連盟（プロ芸）と、前衛芸術家同盟（前芸）が、1928年3月15日の三・一五事件を契機に合同し、全日[[本無産者芸術連盟]]（ナップ）を結成しました。『戦旗』は、このナップの機関誌として創刊されました。

プロレタリア[[文学]]の拠点

『戦旗』は、小林多喜二の「一九二八年三月十五日」や「蟹工船」、徳永直の「太陽のない街」など、プロレタリア[[文学]]を代表する作品を次々と掲載しました。これらの作品は社会に大きな影響を与え、雑誌自体もプロレタリア[[文学]]運動の拠点として重要な役割を果たしました。

発禁処分を頻繁に受けるという困難に見舞われながらも、『戦旗』は定期購読者への直接頒布や、発売と同時に購入する読者の支持によって発行を継続することができました。

ナップからの独立

1929年からは、独立した戦旗社が発行母体となり、1930年には「労農大衆のための政治的アジプロの雑誌」として、ナップから完全に独立した雑誌として発行されました。この時期には〈壁小説〉と呼ばれる短編小説の試みも行われました。一方、ナップは新たに機関誌として『ナップ』を発行しました。

1930年には、13回発行されたうち12回が発禁処分を受けました。しかし、店頭販売を避け、各地に支局を置いて直接販売を行うことで、想像以上の売上を記録し、毎月の本社への入金は1500円から2000円を超える勢いを示しました。

終刊とその後

1931年、プロレタリア文化運動は日[[本プロレタリア文化連盟]]（コップ）へと発展し、『ナップ』が『プロレタリア文化』・『コップ』へと発展的解消を遂げる中で、『戦旗』は終刊となりました。

姉妹誌として、『少年戦旗』や『婦人戦旗』も刊行されました。

参考文献

『復刻版　戦旗』解題（祖父江昭二執筆、1977年）

外部リンク

エル・ライブラリー（「蟹工船」掲載写真）

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