全日本空輸ハイジャック事件

全日本空輸ハイジャック事件

全日本空輸（全日空、ANA）は、1960年代後半から1970年代にかけて、日本国内で多くのハイジャック事件に巻き込まれました。この期間、特に新左翼過激派によるテロ事件やハイジャックが激増しましたが、全日空は国際線を運航していなかったため、政治的目的での標的になりにくかったものの、国内線ではさまざまな理由によるハイジャック事件が発生しました。

特に1977年3月17日には、仙台行きの全日空機が同日に2回もハイジャックされるという稀な事態が発生しました。これらの事件の多くは計画性に欠け、突発的なものでしたが、中には犯人や搭乗者が命を落とすような悲劇的な結末を迎えた事件もありました。

主な事件の概要

全日空アカシア便ハイジャック事件（1970年）

1970年8月19日、名古屋発千歳行きの全日空175便が自殺願望を持つ青年にハイジャックされました。犯人は航空自衛隊浜松基地に緊急着陸を要求し、結果として警察の突入によって逮捕されました。この事件は、新たに施行されたハイジャック防止法が初めて適用された事例でもあります。

全日空801便ハイジャック事件（1971年）

1971年5月13日、羽田から仙台に向かうYS-11型機がハイジャックされ、犯人は「順安国際空港に行け」と要求しましたが、羽田に緊急着陸することとなり、逮捕されました。

全日空758便ハイジャック事件（1971年）

1971年12月19日、福井から羽田へ向かうフレンドシップ機が乗客による放火と襲撃を受け、機長が抵抗の末に取り押さえられました。犯人は逮捕された後、死亡しました。

全日空72便ハイジャック事件（1974年）

1974年7月15日、千歳発のボーイング727型機が少年によってハイジャックされかけましたが、運航乗務員の抵抗によって回避されました。

全日空63便ハイジャック事件（1975年）

1975年7月28日、羽田から千歳向けの機体が高校生にハイジャックされましたが、操縦士の説得により羽田に戻ることとなり、逮捕されました。

全日空724便ハイジャック事件（1977年）

1977年3月17日、千歳発仙台行きのボーイング727型機がナイフを持つ男にハイジャックされそうになりましたが、乗客による取り押さえで未遂に終わりました。

全日空817便ハイジャック事件（1977年）

同日、羽田発仙台行きの機で暴力団員が発砲をしようとしましたが、機長は緊急着陸を選んだ結果、犯人はトイレで自殺しました。これは日本でハイジャック犯が亡くなる初めてのケースでした。

全日空857便ハイジャック事件（1995年）

1995年には、羽田発函館行きの機が「サリンを持っている」との脅迫で乗っ取られ、ピンチが続きましたが、特殊部隊による介入で解決しました。実際には武器は無く、犯人は捜査対象であった信者を名乗っていました。

全日空217便ハイジャック事件（1997年）

1997年、大阪発福岡行きの便が包丁を持った男に乗っ取られましたが、福岡での着陸後、逮捕されることになりました。

全日空61便ハイジャック事件（1999年）

1999年、フライトシミュレーターを趣味とする男がボーイング747型機を乗っ取り、操縦士が制止するも、操縦室の抵抗の末に、機長が亡くなるという悲劇的な結末を迎えました。

終わりに

これら一連の事件は、航空業界における安全対策や社会的な衝撃を引き起こし、民間航空機のセキュリティの重要性を再認識させる契機となりました。また、事件毎に異なる背景や動機があり、安全保障や航空法の改正にも影響を与えました。これらの教訓は現在の航空交通においても生かされています。

もう一度検索