全部、君だった。

山崎まさよしの14枚目にあたるシングル「全部、君だった。」は、2003年3月19日にユニバーサルミュージックから発表されました。オリジナルシングルとしては、2001年5月23日発売の「Plastic Soul」以来、約2年ぶりとなる作品です。この間には、ライブ音源シングル「心拍数」や、2002年5月29日に同時リリースされた9作品の期間限定地域盤といった計10作品がリリースされています。

本作は、山崎まさよしのシングルとして初めてDVDが付属した初回限定盤が制作された点が特筆されます。この初回盤には特典DVDが同梱されており、後述するライブ映像やショートムービーが収録されています。CDのみの通常盤も同時に発売されており、初回盤と通常盤ではジャケット写真が異なる仕様となっています。特に初回盤のジャケット写真は、後に行われたファンクラブ会員による投票企画「好きなジャケット写真～シングル部門」で見事1位を獲得しており、ファンからの支持の高さを示しています。

表題曲「全部、君だった。」は、山崎まさよし自身がリリース当時のインタビューで語ったところによると、「どこを切っても成り立つような、サビがない曲を作ろう」という意図を持って制作された楽曲です。従来のJ-POPにおけるサビの概念にとらわれない、独自の楽曲構成を目指したことが窺えます。このシングルに収録されたバージョンと、約3ヶ月後の2003年6月25日にリリースされた6thアルバム『アトリエ』に収録されたバージョンでは、後奏の長さが若干異なっています。

カップリング曲として収録されている「OVER THE RAINBOW」も、本作の重要な要素の一つです。この楽曲は、当時MITSUBISHI MOTORSの自動車「COLT」のテレビコマーシャルソングとして使用されました。山崎まさよしは、ライブなどでカヴァー曲を披露したり、そのライブ音源がCD化された経験はありましたが、メジャーデビュー以降、スタジオで新たに録音されたカヴァー曲がCD音源として正式に発表されるのは、この「OVER THE RAINBOW」が初めてのことでした。この作品を皮切りに、山崎まさよしの未発表カヴァー曲がテレビCMなどで使用される機会が増加する傾向が見られます。CMオンエア後、しばらくしてからそれらの音源がCD化されるケースが多くなっており、その例としては、MITSUBISHI MOTORSのCMで使用された「どこまでも行こう」や、キリンビールのCMソングだった「Stand by me」（いずれも2005年9月21日発売のB Side&レアトラック集『OUT OF THE BLUE』に収録）、NTT西日本・フレッツ光のCMソング「Daydream Believer」（2007年10月31日発売の初のカヴァーアルバム『COVER ALL YO!』に収録）などが挙げられます。

「全部、君だった。」の作詞・作曲・編曲は山崎将義が担当しました。

このシングルには以下の3曲が収録されています。

全部、君だった。（5:18）
mud skiffle track X（1:48）
OVER THE RAINBOW（2:42）

初回限定盤に付属するDVDには、以下の内容が収録されています。

STRAWBERRY FIELDS FOREVER（LIVE）
ベンジャミン（LIVE）
mud skiffle track X

本作の収録曲は、後のアルバムやベスト盤にも収録されています。

全部、君だった。（Single Version） - アルバム『BLUE PERIOD』に収録
全部、君だった。（Album Version） - アルバム『アトリエ』（6th アルバム）に収録
mud skiffle track X - アルバム『OUT OF THE BLUE』に収録
OVER THE RAINBOW - アルバム『OUT OF THE BLUE』に収録

関連する事項として、MITSUBISHI MOTORS、三菱・コルトといった企業や車種、所属事務所のオフィスオーガスタ、そしてカヴァー曲に関連してビートルズなどが挙げられます。

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