八ヶ岳美術館

八ヶ岳美術館・原村歴史資料館：芸術と歴史の融合する高地美術館

標高1350m、長野県諏訪郡原村に位置する八ヶ岳美術館・原村歴史資料館は、1980年、彫刻家清水多嘉示の作品寄贈をきっかけに開館した村立美術館です。全国的にも珍しい村立美術館として、芸術と歴史を融合させたユニークな施設として知られています。

見どころ：芸術と歴史の調和

美術館では、主に原村出身の彫刻家清水多嘉示のブロンズ彫刻や絵画作品が常設展示されています。力強い造形美と繊細な表現が織りなす作品の数々は、来館者の心を捉えて離しません。 また、同じく原村出身の書家、津金寉仙の作品も展示され、多様な芸術表現に触れることができます。

原村には約100もの遺跡が存在し、その発掘調査で出土した土器や石器などの考古学遺物も数多く収蔵されています。国史跡に指定された阿久遺跡、前尾根遺跡、大石遺跡、居沢尾根遺跡などから発掘された貴重な資料は、美術作品と並んで展示され、民俗資料館としての役割も担っています。歴史と芸術が調和した展示は、この美術館ならではの特色です。

館外の散策路では、清水多嘉示をはじめとする彫刻作品や、津金寉仙の自詠詩碑が自然豊かな環境の中で鑑賞できます。さらに、原村立原中学校の生徒が卒業記念に制作したブロンズ彫刻も展示されており、地域住民の創造性も感じられます。八ヶ岳山麓の豊かな自然と調和した空間は、散策するだけでも心癒されるでしょう。

八ヶ岳山麓には多くの芸術家が工房を構えており、美術館では年間を通して、これらの作家を紹介する企画展も開催されています。地域に根差した芸術活動を積極的に支援し、紹介する姿勢は、この美術館の重要な活動の一つとなっています。

20年続いた隔年開催の全国公募展「あなたが選ぶ信州の裂織展」は、2024年開催の10回展をもって幕を閉じます。長年に渡り多くの織物作品を紹介してきたこの展覧会は、信州の伝統工芸を愛する人々にとって、大きな節目となるでしょう。

建築：村野藤吾の晩年の傑作

美術館の建物は、著名な建築家、村野藤吾の設計によるものです。ドームが連続するユニークなデザインは、村野藤吾の晩年の代表作として知られています。曲面には彫刻、平面には絵画を配し、鑑賞する人の視覚を最大限に活かした空間設計は、まさに建築作品そのものと言えるでしょう。天井から吊るされたレースのカーテンは、柔らかな光を演出しており、落ち着いた雰囲気の中で作品を鑑賞できます。

アクセス

車の場合、中央自動車道諏訪南インターチェンジから8km、鉢巻道路（県道484号線）沿いです。小淵沢インターチェンジからは14kmです。公共交通機関では、茅野駅や富士見駅からバスを利用できますが、運行状況は季節や曜日によって異なります。夏季には、小淵沢駅から八ヶ岳美術館への直行バスも運行されています。

近隣の施設

美術館周辺には、八ヶ岳自然文化園、八ヶ岳中央農業実践大学校、種苗管理センター八ヶ岳農場などの施設もあります。これらの施設と合わせて訪れることで、八ヶ岳の自然と文化を満喫できます。

八ヶ岳美術館・原村歴史資料館は、芸術と歴史、そして自然が調和した、魅力あふれる場所です。八ヶ岳を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

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