富士見駅

富士見駅：標高955.2mに位置する山岳リゾートの駅

長野県諏訪郡富士見町富士見にあるJR東日本中央本線の富士見駅は、標高955.2mという高い位置にあり、JR在来線特急停車駅としては日本で最も標高が高い駅として知られています。特急「あずさ」の一部列車が停車し、山岳リゾートへのアクセス拠点として重要な役割を担っています。

歴史と変遷

富士見駅の歴史は古く、1904年（明治37年）に中央本線韮崎駅 - 富士見駅間が開通した際に開業しました。当初は旅客と貨物の取扱いを開始し、1905年には岡谷駅まで延伸されました。駅周辺には森林鉄道も敷設されていましたが、1950年代に全廃。その後、国鉄分割民営化を経て、1987年にJR東日本の駅となりました。2014年にはSuicaの利用が可能になり、東京近郊区間に編入されました。

駅の歴史を紐解くと、1946年（昭和21年）には、終戦後富士見村民516人が乗った列車が到着し、駅前で盛大な帰還祝賀パレードが催されたというエピソードも残っています。これらの出来事は、この駅が地域住民にとってどれだけ重要な存在であったかを示しています。また、貨物取扱いは1980年に、荷物扱いは1985年に廃止されました。2024年3月15日のダイヤ改正では、塩尻方面からの区間列車が小淵沢まで延長されたことにより、当駅止まり・始発の列車は消滅しました。

駅舎と構造

富士見駅は、木造駅舎が特徴的な地上駅です。単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線の、計2面3線を有しています。2つのホームは屋根付き跨線橋で結ばれており、バリアフリーにも配慮されています。駅舎内には待合室、みどりの窓口、自動券売機、簡易Suica改札機などの設備に加え、駅そば屋も併設されており、利用者の利便性を高めています。茅野駅が管理する業務委託駅であり、ステーションビルMIDORIが受託業務を行っています。

利用状況と周辺環境

富士見町の中心集落に位置する富士見駅は、町内3駅の中で最も利用者数が多い駅であり、町の拠点としての役割を担っています。駅周辺には広い広場があり、駅舎に向かって右側には南北自由通路が整備されています。

JR東日本によると、2023年度の1日平均乗車人員は838人です。近年は、観光客の増加や地域住民の利用によって、乗車人員は比較的安定しています。

文化と自然

富士見駅は、明治時代末期に伊藤左千夫や島木赤彦といったアララギ派の歌人がたびたび訪れた場所としても知られています。駅舎のホーム側には『アララギ之里』と題された拓本が展示され、富士見公園内にはアララギ派歌人の歌碑が建立されています。これらの史跡は、富士見駅の文化的側面を彩っています。

また、駅東側には旧線トンネルがあり、駅周辺は自然豊かな環境に恵まれています。標高の高い立地を生かし、周辺は四季折々の美しい景色を楽しめる場所です。

その他

富士見駅は、かつては国鉄で最も標高の高い駅でしたが、小海線の野辺山駅、清里駅などにその座を譲っています。それでも、JR在来線特急停車駅としては最も標高の高い駅であり、その独特のロケーションが魅力の一つとなっています。2014年には開業110周年を記念して「ブルートレイン信州」が運転されるなど、歴史と伝統を重んじる取り組みもなされています。

隣の駅

信濃境駅
すずらんの里駅

※特急「あずさ」の隣の停車駅は列車記事を参照ください。

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