八尋和美

八尋和美（やひろ かずみ、1931年8月20日 - ）は、日本の指揮者であり、特に合唱音楽の分野でその才能を発揮しています。福岡県出身で、福岡県立修猷館高等学校を経て、1956年に東京藝術大学音楽学部声楽科を卒業しました。声楽を矢田部勁吉、リア・フォン・ヘッサート、磯部威に師事し、バスの声域を習得。また、ピアノを小田雪江、指揮法を渡邊暁雄に師事するなど、音楽家としての幅広い基礎を築きました。

大学卒業後、八尋は田中信昭らと共に、日本初のプロ合唱団である東京混声合唱団の設立に尽力しました。彼は創立メンバーの一人として、同団のコンサートマスター、トレーナー、編曲者、そして指揮者として多岐にわたる役割を担い、合唱団の発展に大きく貢献しました。1973年には東京混声合唱団の指揮者に就任し、1997年には正指揮者として更なる活躍を見せましたが、後に退団しています。

東京藝術大学では、後進の育成にも力を注ぎ、合唱指導者の育成に貢献しました。また、大学時代の友人らと男声コーラスアンサンブルを結成し、中尾ミエらのレコーディングにバックコーラスとして参加するなど、幅広い音楽活動を展開しました。

1982年には、文化庁在外研修員として旧東西ドイツに留学し、ドイツ滞在中にはライプツィヒの聖トーマス教会のカントル、ゲオルク・クリストフ・ビラーと親交を深めました。1990年にはビラーの招聘により、東西ドイツ統一前のライプツィヒのペータース教会でバッハのモテット『御霊はわれらの弱きを助けたもう』を指揮し、その才能を国際的にも示しました。ビラーとは現在でも親交が続いています。

八尋は、アマチュア、プロ、そして大学の合唱団など、多くの団体で指揮、指導を行い、中には30年以上にわたって指導を続けている合唱団も存在します。彼の指導は、合唱音楽の深い理解と愛情に基づいたものであり、多くの合唱団から絶大な信頼を得ています。

メンデルスゾーンの合唱曲の解釈と指揮は特に高く評価されており、その卓越した音楽性は、聴衆だけでなく、多くの合唱音楽家たちにも影響を与えています。近年では、現代作曲家アルヴォ・ペルトの合唱作品の指揮にも積極的に取り組み、新たな音楽の可能性を追求しています。

現在、くらしき作陽大学の客員教授として、後進の指導にあたっています。

関連事項

東京混声合唱団
ゲオルク・クリストフ・ビラー

外部リンク

東京混声合唱団
がんばれ東混!
横浜合唱協会（YCS）
三島グロリア合唱団
早稲田大学混声合唱団
同志社学生混声合唱団（CCD）

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