八幡市 (福岡県)

八幡市の概要

八幡市（やはたし）は、福岡県の北東部にかつて存在した市で、重工業を中心とした発展を遂げていました。1963年2月10日、門司市・小倉市・若松市・戸畑市とともに合併し、北九州市が発足したことで消滅しました。このとき、旧八幡市域は北九州市内の八幡区として再編され、その後、1974年には八幡東区と八幡西区に分割されています。

八幡市は、北九州市の合併五市の中で唯一、筑前国（遠賀郡・鞍手郡）と豊前国（企救郡）にまたがる市域を持っていました。特筆すべきは、八幡市が廃止されてから14年以上の時を経て、1977年に新たに発足した京都府の八幡市とは異なり、前者とは同時期には存在していなかったことです。

歴史

八幡市の成り立ちは1889年に遡ります。この年、遠賀郡の尾倉村、大蔵村、枝光村が合併し、新たに八幡村が誕生しました。八幡の名称は、合併した三村にそれぞれ創建されていた八幡神社に由来しています。その後、1900年に町制を施行し、八幡町と改称されました。さらに1917年には市制を施行し、八幡市となります。

八幡市は特に産業面での独自の発展を遂げました。1901年、官営八幡製鐵所が設立され、金属加工業の発展を牽引しました。この製鉄所を中心に工業が展開され、八幡市は「鉄の町」と称されるようになりました。第二次世界大戦中には多くの空襲を受け、特に1944年の八幡空襲や、終戦直前の八幡大空襲で大きな被害を被りました。

行政区域の変遷

八幡市は次第にその市域を拡大し、周辺の町や村を編入していきました。1889年に発足した八幡村から、1900年に町制を施行し八幡町へ、そして1917年に市制施行で八幡市という歴史を経ています。1925年から1955年にかけても幾度となく町村を編入し、人口が急増しました。

1963年に北九州市が発足した際、八幡市は同時に廃止され、旧市域は八幡区として北九州市の一部となりました。この変遷は八幡市の歴史を一つの区切りへと導きました。

人口の変遷

八幡市は、設立当初から非常に多くの人口を抱え、1920年には10万人を超える人口の都市へ成長しました。その後も人口は増加し続け、1955年には28万人を超えましたが、1963年の市廃止時には約16万人に減少していました。市が廃止されてから、現在の八幡区は多くの文化や歴史を抱えた地域として発展を続けています。

産業とスポーツ

八幡市では、重工業が主な産業で、日本製鉄が主導的な役割を果たしていました。戦後、八幡製鐵と黒崎窯業、安川電機などが地域経済を支える企業として浮上しました。また、八幡市はかつて社会人野球の企業チームである新日本製鐵八幡硬式野球部の拠点でもありましたが、2003年には解散しています。

八幡市が幼少期を持つ出身者には、著名なオペラ歌手や俳優、作曲家など多様な分野において活躍した人物たちがいます。これらの資源が八幡市の文化を形作り、地域の歴史に色を添えています。

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