八戸城

八戸城（はちのへじょう）

八戸城は、現在の青森県八戸市にあった日本の城郭（平山城）です。

概要

八戸城は、現在の八戸市内丸に位置し、根城南部氏が拠点としていた八戸根城とは全く別の城郭です。その起源は、南部師行が八戸根城を築いた頃、根城南部氏2代政長の三男・信助が根城の支城として築いたことに遡るとされます。ただし、築城時期や城の位置、規模については明確な記録が残っていません。その後、信助の一族は中館氏を名乗り、居城は中館と呼ばれるようになりました。

八戸が津軽領と接する要衝であったため、南部利直は寛永4年（1627年）に根城南部氏を遠野へ移封。中館氏もこれに従い、八戸は南部（盛岡）藩の直轄地として代官支配によって整備されました。その後、八戸藩が分立されると、初代藩主である直好（後の直房）は新たな居城を築かず、三八城山に既にあった盛岡藩時代の建物を引き継ぎ、館を修築して八戸城として使用しました。彼は家臣団の編成と城下町の整備に尽力しました。

城郭は本丸と二の丸で構成され、現在は跡地に三八城神社と三八城公園があります。

歴史

寛永4年（1627年） - 八戸城築城。
寛文4年（1664年） - 八戸藩成立により藩庁が置かれる。
寛文5年（1665年） - 二の丸に馬屋が設けられる。
文政10年（1827年） - 南部信真より新御殿の普請が命じられる。
文政11年（1828年） - 古御殿の解体工事が行われる。
文政12年（1829年） - 新御殿が竣工。二の丸に文武学校が新築される。
天保9年（1838年） - 沿岸警備の功が認められ、幕府によって藩主が城主格になり、公式に城と称される。
明治4年（1871年） - 廃藩置県により廃城。
明治7年（1871年） - 跡地に三八城神社が創建される。
昭和8年（1933年） - 道路建設のため、内堀が埋め立てられる。
平成6年（1994年） - 三八城公園内で発掘調査が行われる。

城内外の構成

本丸

本丸は東西約150メートル、南北200メートルの規模でした。現在の三八城神社付近に御殿があり、藩の役所、藩主の執務場所、居間等で構成されていました。文政12年（1829年）に新御殿が建築された際、奥部分が大きく拡張されました。

御殿の北側には御花畑と米蔵、南側には書院庭と武器の土蔵がありました。天守や隅櫓は計画のみで、建設されることはありませんでした。

二の丸

本丸の東南に位置し、現在の八戸市内丸二丁目・三丁目付近にあたります。角御屋敷、学校、馬屋が置かれ、法霊社（現在の龗神社）、八戸藩の祈祷寺であった豊山寺、八幡宮がありました。その他、藩の家老格である中里家・逸見家・船越家の屋敷がありました。

明治維新後、二の丸の八幡宮にちなんで一帯は「八幡町」と改称されましたが、昭和33年（1958年）に再び内丸の名称に戻されました。

城下町

八戸藩成立以前から、城の周囲には町が形成されていました。藩士の増加に伴い、城下の範囲は徐々に拡大しました。西側は当初廿三日町付近が境界でしたが、後に荒町まで広がりました。東側には足軽屋敷として塩丁などが作られました。

城下町の全体像は、「文久改正　八戸御城下略図」（八戸市立図書館蔵）に絵図として残されています。

城下町の構成は以下の通りです。

武家町 - 内丸、堀端丁、常海丁、窪丁、番丁（上番町・中番丁・下番丁に区分）、馬場丁、堤丁、本徒士丁、徒士丁、稲荷丁、上徒士丁、本鍛冶丁、鳥屋部丁、山伏小路、鷹匠小路、長横丁、岩泉丁、柏崎新丁、下組丁、町組丁、常番丁、上組丁、新組丁。
町人町 - 新荒町、荒町、廿三日町、十三日町、櫓横丁、三日町、八日町、十八日町、廿八日町、廿一日町、十一日町、朔日町、六日町、十六日町、廿六日町、寺横丁、大工町、鍛冶丁。

遺構

開発により、一部の建物を除き、土塁や堀跡が部分的に残されているのみです。

八戸城角御殿表門 - 青森県重宝。「古桜門」とも呼ばれ、現在は南部会館の表門となっています。昭和53年（1978年）に積雪により倒壊したため修理が行われ、その際に小さな毘沙門天像が発見されました。
* 旧八戸城東門 - 八戸市指定文化財。安政8年（1859年）に台風で倒れ、八戸藩の家老に払い下げられたのを機に根城に移築。現在は八戸市根城史跡の広場の入り口となっています。

1874年（明治7年）には、城内の物見櫓を堀端町に移築し八戸書籍縦覧所（現在の八戸市立図書館の前身）が開設されました。八戸城の御殿については、復元模型が八戸市博物館に展示されています。城下町については、大正13年（1924年）の八戸大火や都市開発によりその面影を残すものはほとんどありませんが、八戸市中心街の道路の形状は城下町の道路の大部分を継承しています。一方で、軟弱地盤である掘割や溜池を利用して造られた道路も存在します。

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