八郎潟新農村建設事業団

八郎潟新農村建設事業団について

八郎潟新農村建設事業団は、かつて秋田市に存在した特殊法人です。その目的は、国営八郎潟干拓事業によって造成された土地を活用し、総合的かつ計画的に農地や農村施設の整備を進め、模範的な新農村を建設することにありました。

設立と目的

事業団は、八郎潟新農村建設事業団法（昭和40年法律第87号）に基づき設立されました。その背景には、八郎潟干拓事業によって生み出される広大な土地を、有効に活用し、新たな農村モデルを構築するという国家的プロジェクトがありました。具体的には、農地等の整備、農村施設の造成等を行い、地域の活性化を目指していました。

解散と権利義務の承継

事業団は1978年（昭和53年）に、農用地開発公団法の一部改正により解散しました。解散に伴い、事業団が有していた一切の権利と義務は、農用地開発公団（現在の森林研究・整備機構森林整備センター）に引き継がれました。これにより、八郎潟における新農村建設事業は、新たな組織によって継続されることとなりました。

事業内容

事業団は、農林大臣が指示した基本計画に基づき、以下の業務を行っていました。

土地の整備: 秋田県南秋田郡大潟村の区域内における農地、宅地その他の土地の整備を行いました。
施設の造成: 大潟村の区域内における公用または公共用に供する施設、住民の共同福祉に必要な施設、農業に係る共同利用施設、農業者のための集団住宅などの造成を行いました。これらの施設造成は、大潟村に隣接する市町村の区域内における施設と一体的に使用されるものも含まれていました。
土地の譲渡: 造成した施設のために取得した土地の譲渡を行いました。
機械器具の譲渡・貸付: 大潟村の農業者のために、農業用機械器具の譲渡や貸付を行いました。
委託業務: 国または地方公共団体からの委託を受けて、農業に関する技術や知識の普及指導、大潟村または隣接する市町村の土地改良財産の管理なども行っていました。

土地の譲渡における制限

事業団から土地を譲り受けた者は、譲渡契約において、土地を譲り受けた日から8年以内は、他の用途への転用や所有権の移転、使用収益権の設定が制限されていました。これらの制限に違反した場合、ペナルティとして納付金を徴収されることになっていました。これは、土地の投機的な利用を防ぎ、農業振興を目的とする事業の趣旨を徹底するための措置でした。

財務と会計

事業団の運営資金は、政府からの出資のほか、長期借入金や八郎潟新農村建設債券の発行によって調達されていました。これらの資金調達には、農林大臣の認可が必要であり、政府による債務保証も行われていました。また、事業年度ごとに農林大臣から予算や財務諸表の承認を受ける必要があり、厳格な財務管理が行われていました。

八郎潟と干拓事業

八郎潟は、かつて日本で2番目に大きい湖でしたが、食糧増産を目的とした大規模な干拓事業によって、その大部分が農地へと姿を変えました。八郎潟新農村建設事業団は、この干拓事業によって生まれた広大な土地を有効活用し、新たな農村モデルを構築するという重要な役割を担っていました。

関連項目

八郎潟
* 干拓事業

もう一度検索