公暁

公暁（くぎょう / こうきょう / こうぎょう）

公暁（くぎょう / こうきょう / こうぎょう、正治2年〈1200年〉- 建保7年1月27日〈1219年2月13日〉）は、鎌倉時代前期に生きた僧侶です。鎌倉幕府2代将軍、源頼家の息子として生まれ、その出自から鎌倉政権において重要な役割を担うことになります。

名前の読み方

公暁の名前の読み方には諸説あります。江戸時代以降は呉音読みで「くぎょう」と呼ばれることが一般的でしたが、明治時代の『国史大辞典』では「クゲウ」とされていました。近年では歴史関係の書籍でも「くぎょう」と読むことが主流です。一方で、鎌倉時代に成立したとされる『承久軍物語』では「こうきょう」と書かれています。また、公暁の名は師である貞暁と公胤から取られたものとされています。

生涯

誕生から出家

正治2年（1200年）、公暁は二代鎌倉殿、源頼家と正室である辻殿の間に嫡男として誕生しました。幼名は善哉（ぜんざい）と名付けられました。しかし、父である頼家は建仁3年（1203年）に鎌倉を追放され、公暁が4歳の時に暗殺されます。建永元年（1206年）には祖母である北条政子の邸で着袴の儀式を行い、その後、叔父である3代将軍源実朝の猶子となりました。建暦元年（1211年）には12歳で出家し、園城寺で公胤の門弟として修行を積みました。

鶴岡八幡宮別当

建保5年（1217年）、18歳になった公暁は鎌倉に戻り、北条政子の意向により鶴岡八幡宮寺の別当に就任しました。鶴岡八幡宮は鎌倉幕府にとって重要な意味を持つ寺社であり、その別当に就任したことは、公暁が鎌倉政権内で大きな影響力を持つようになったことを示しています。

源実朝暗殺

建保7年（1219年）1月27日、公暁は源実朝を暗殺するという衝撃的な事件を起こします。雪が降りしきる中、鶴岡八幡宮に参詣した実朝を襲撃し、その首を斬り落としたのです。公暁は「親の敵はかく討つぞ」と叫んだと伝えられています。この事件は鎌倉幕府に大きな混乱をもたらし、その後の歴史を大きく左右することになりました。

最期

実朝暗殺後、公暁は三浦義村に協力を求めますが、義村は北条義時に密告。公暁は義村の屋敷へ向かう途中で長尾定景に討たれ、20歳という若さで生涯を終えました。公暁の死後、源頼朝の直系は、妹である竹御所ただ一人となりました。

実朝暗殺の背景

公暁が実朝を暗殺した背景には、様々な説があります。父の仇討ちという個人的な動機に加え、北条氏の源家討滅の陰謀、あるいは三浦氏による北条打倒の策略、さらには後鳥羽上皇による幕府転覆の策謀などが考えられています。近年では、公暁が単独で犯行に及んだとする説が有力視されています。実朝の後継者として将軍の座を狙っていた公暁が、自身の将軍就任の可能性がなくなったことに焦り、犯行に及んだという見方がされています。

隠れイチョウの伝説

鶴岡八幡宮には、かつて「公暁の隠れいちょう」と呼ばれる大木がありました。公暁がこの木の陰に隠れて実朝を襲ったという伝説がありましたが、この伝説が広まったのは江戸時代以降のことです。なお、イチョウは2010年に倒壊しています。

関連作品

公暁を題材とした作品として、以下のようなものがあります。

テレビドラマ
『草燃える』（1979年、NHK大河ドラマ、演：堀光昭）
* 『鎌倉殿の13人』（2022年、NHK大河ドラマ、演：寛一郎）

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