公有地条例 (1785年)

1785年公有地条例：アメリカの西部開拓と土地政策の基礎

1785年5月20日、アメリカ合衆国連合会議で採択された「1785年公有地条例」は、独立戦争後にイギリスから獲得した広大な西部領土を管理し、売却するための重要な法律でした。連合規約下のアメリカ合衆国は、直接的な課税権を持たなかったため、この条例は連邦政府の歳入を確保する手段として重要な役割を担いました。

西部領土の組織化と管理

この条例は、単に土地を売却するだけでなく、新しい領土の政治的な組織化についても規定していました。1784年の条例では、アパラチア山脈の西、オハイオ川の北、ミシシッピ川の東の地域を10の州に分割する計画が立てられていましたが、具体的な統治方法や州への昇格プロセスが不明確でした。1785年の公有地条例と1787年の北西部条例は、これらの政治的課題に対処し、西部領土の秩序ある発展を促すことを目指しました。

公有地測量システムの確立

この条例の最も重要な側面の1つは、公有地測量システムの基礎を築いたことです。当初の測量はトマス・ハッチンスによって行われ、彼の死後は測量局長がその責任を引き継ぎました。土地は、一辺が6マイル（約9.6キロメートル）の正方形の郡区（township）を基本単位として体系的に測量されました。各郡区は、一辺が1マイル（約1.6キロメートル）、面積が1平方マイル（約2.6平方キロメートル、640エーカー）の街区（section）に分割され、1つの郡区には36の街区が含まれました。この街区が、開拓者や土地投機家への売却の基本単位となり、さらに細分化されることもありました。

教育施設の設置

1785年公有地条例は、公的な教育施設のための土地を確保する仕組みを導入した点でも重要です。各郡区の第16街区は、公的教育施設のために留保されました。これにより、多くの学校が各郡区の第16街区に設立されることになりました。ただし、これらの土地は教育資金を確保するために売却されることもありました。理論上、第8、第11、第26、および第29街区は、独立戦争に従軍した兵士への補償のために連邦政府が留保することになっていましたが、オハイオ州での実際の運用を見ると、必ずしもその通りではなかったことがわかっています。

測量開始点

1785年の測量開始点は、オハイオ州（北西部領土の最東端）、ペンシルベニア州、バージニア州（現在のウエストバージニア州）の州境が交わる地点で、オハイオ川の北岸、イースト・リバプールの近くに位置していました。この場所は、オハイオ州道30号線とペンシルベニア州道68号線が交差する場所にあり、歴史銘板が設置されています。

結論

1785年の公有地条例は、1862年のホームステッド法が制定されるまで、アメリカ合衆国の土地政策における基本原則を確立しました。この条例は、西部領土の秩序ある開拓、連邦政府の歳入確保、そして公的教育の基盤を築く上で重要な役割を果たしました。

関連項目

北西部条例 (アメリカ))
北西部領土 (アメリカ合衆国))
公有地測量システム

外部リンク

Library of Congress - Ordinance Text
Indiana Historical Bureau - Ordinance Text
Ohio History Central - Land Ordinance of 1785
* Bureau of Land Management - Principal Meridians and Base Lines Map

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