六八九トリオ

六八九トリオ：日本の音楽史に輝く、永遠のハーモニー

作詞家である永六輔氏、作曲家である中村八大氏、そして歌手である坂本九氏。この3人によって形成された「六八九トリオ」は、その名前にそれぞれの氏名の数字部分を取り入れた、日本の音楽史に燦然と輝く伝説的なユニットです。

1961年、空前の大ヒットを記録した「上を向いて歩こう」を始め、「一人ぼっちの二人」など、数々の名曲を世に送り出し、日本のみならず世界中で愛される楽曲を生み出しました。軽妙洒脱なメロディーと、時代を映し出す歌詞は、人々の心に深く刻まれ、現在でも広く親しまれています。

トリオとしての活動は、1967年の「久しぶりのあなた」を最後に一旦休止。しかし、12年後の1979年、坂本九氏のアルバム『689』制作を機に、同窓会的な意味合いで再集結を果たします。「あの時の約束／そして想い出」「結婚通知／夜明け夕焼け」といった楽曲が制作され、坂本九氏のコンサートでも披露されました。この再集結は、長年のファンにとって大きな喜びであり、トリオへの変わらぬ愛情を再確認する機会となりました。

1985年、永六輔氏と中村八大氏による「六八コンサート」に訪れた坂本九氏は、コンサート終了後の楽屋で「もう一度、3人で歌を作りたい」と強い意志を表明し、再結成への約束を交わしました。しかし、その直後に発生した日本航空123便墜落事故により、坂本九氏が急逝。悲劇的な事故により、再結成の夢は叶うことなく散ってしまいました。

六八九トリオとしての楽曲制作は途絶えてしまいましたが、永六輔氏と中村八大氏、そして坂本九氏のいずれか2名による楽曲は数多く存在します。「明日があるさ」「見上げてごらん夜の星を」「ともだち」「レットキス」「太陽と土と水を」など、多くの名曲は、それぞれの持ち味を生かし、人々に感動と希望を与え続けています。

永六輔氏と中村八大氏による「六八コンビ」も、日本の音楽シーンに多大な貢献を果たしました。「黒い花びら」「遠くへ行きたい」「こんにちは赤ちゃん」「帰ろかな」といった名曲の他、近畿日本鉄道の社歌「近鉄の歌」も制作しています。

六八九トリオの功績は、音楽界にとどまりません。1999年には、小惑星番号6980に「Kyusakamoto」という名称が与えられ、これは六八九トリオに因んで発見者のひとりである渡辺和郎氏が小惑星センターに申請、認められたものです。この命名は、トリオが後世に与えた影響の大きさを示す、象徴的な出来事と言えるでしょう。

松田聖子氏、作詞家松本隆氏、作曲家松任谷由実氏（呉田軽穂名義）による「松トリオ」のように、才能ある3人によるコラボレーションは、音楽史に輝かしい足跡を残す例として、六八九トリオの偉業を際立たせています。六八九トリオの音楽は、これからも人々の心に響き続け、日本の音楽文化の宝として大切に受け継がれていくことでしょう。

もう一度検索