六本木五丁目西地区

六本木五丁目西地区再開発プロジェクト

六本木五丁目西地区は、東京都港区に位置する再開発区域であり、2025年度から工事が開始され、2030年度に完成する予定です。このプロジェクトの主要な開発者である森ビルと住友不動産は、「安全安心で緑豊かな丘陵都市」とのコンセプトの下、新しい都市空間を創造することを目指しています。

この地区は、2023年に開業した『麻布台ヒルズ』や完了した『虎ノ門ヒルズ』に続く重要な開発計画として位置付けられています。森ビル社長の辻慎吾氏は、この地域が「見たことのないような街」になると強調しており、多くの期待が寄せられています。再開発にかかる総事業費は約8000億円と見込まれており、これは日本国内で過去最大級の規模とされています。また、このプロジェクトによって、大丸有地区など東京都心の主要エリアの再構築との相乗効果が期待されています。

特徴と課題

六本木五丁目西地区は、幹線道路に接し、地下鉄・都営地下鉄の六本木駅へのアクセスが良好で、交通面での利便性が高いエリアです。東京都の整備計画では、国際性豊かな交流ゾーンの形成を目指し、多様な機能の集積と、市街地の更新が求められています。一方で、公共交通の不足や歩行者の移動に関する課題も存在しています。具体的には、六本木駅周辺に十分なスペースがないことや、バリアフリーの対応が不足していること、さらに交通の乗降場が点在し、利便性が低いという問題が挙げられます。

加えて、坂の多い地形や公共交通の接続不良が歩行者や自動車の移動を難しくしています。また、伝統的な街並みが残るなかで、防災の観点からも旧耐震基準の建物の存在が懸念されており、この地域での安全対策が強く求められています。

経緯

再開発の始まりは2005年までさかのぼり、地域の土地を所有していた川崎定徳が森ビルに協力を依頼したことが契機となりました。その後、「繁華街内に小学校が存在することへの懸念」が高まり、この問題を解決するために、2006年に安全安心な都市づくりを目指す協議会が設立され、より持続可能な街づくりが求められました。

2008年には、六本木五丁目西地区市街地再開発準備組合が設立され、東洋英和学院など多くの地権者が参加します。その後、2011年の東日本大震災を挟んで再開発計画が進展し、2020年度には「モデル権利変換計画」が策定され、新しい基本設計が進められました。2023年には東京都に対して都市計画案が提出され、近隣住民への説明会が行われるなど、地域社会との連携が進められてきました。

整備の概要

再開発区域は約8ヘクタールで、5つの街区に分けられ、総延べ面積は約108万㎡に達します。これは隣接する六本木ヒルズの面積を上回る規模です。プロジェクトの完成後、1日あたり約6万人の来訪者が見込まれています。

具体的には、A-1街区には327メートルの高さのビルが建設され、商業施設や文化施設が設けられる予定です。A-2街区には寺院、A-3街区には教会といった文化的な要素も加わります。一方、B街区では288メートルの共同住宅が建設され、国際基準に対応した居住機能が提供される予定です。さらに、C街区では学校、D街区では国際文化会館の保全が行われ、E街区では共同住宅や店舗が設けられます。

この再開発は地域に新たな命を吹き込み、活気ある都市空間を創出することを目的としています。緑豊かな丘陵都市のビジョンが現実のものとなる日が待ち望まれています。

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