共立女子聖書学院

共立女子聖書学院（きょうりつじょしせいしょがくいん）は、かつて神奈川県横浜市に存在した女子のための神学校です。設立以来、キリスト教の伝道に携わる女性や牧師夫人など、多くの人材を育成し、日本のキリスト教界に貢献しました。その歴史は閉じることとなりましたが、その精神と伝統は現在、共立基督教研究所によって受け継がれています。

この学校の起源は、1881年にさかのぼります。全国婦人一致伝道協会のL・H・ピアソン宣教師が、横浜市中区山手町に偕成伝道女学校を創立したのが始まりです。ピアソン宣教師は初代校長として学校の基盤を築きましたが、1899年に死去しました。学校はその後発展を続け、1907年には共立女子神学校と名称を改め、女子神学教育の拠点としての歩みを進めました。

太平洋戦争が激化する中、日本の教育体制は大きな変革を迫られました。国の政策に従い、神学校も教団教派の合同による日本基督教団の設立と連動して統合されることとなります。1940年には松尾造酒蔵が校長に就任（1943年まで）。1941年には政府の要請を受け、他の神学校との合同に向けて動き出しました。そして1943年、東京聖経女学院や青山学院神学部女子部などと共に、日本女子神学校として統合されます。この学校の校長には渡辺善太が就任しました。さらに翌1944年には日本基督教女子神学専門学校となり、戦時下の高等教育機関として再編が進められました。

終戦後、教育機関は再び再編されます。1948年には、日本基督教女子神学専門学校は日本基督教神学専門学校に統合され、後に東京神学大学へと改組されました。この過程で、創立以来の学校が有していた資産や同窓会組織は、東京神学大学に引き継がれることとなります。

しかし、共立女子聖書学院の歴史はここで途絶えませんでした。戦後の混乱を経て、旧派の流れを汲む関係者によって再興が図られます。1951年、米国婦人一致伝道協力会から派遣されたM.バレンタインを総理として、共立女子聖書学院として再び設立されたのです。この再興された学校は、日本基督教団からは独立し、特定の教派に偏らない福音主義に基づいた超教派の女子神学校として新たな道を歩み始めました。一方で、この再興により、以前からの同窓会は分裂を来すこととなったという側面もありました。1957年には再び共立女子聖書学院という校名に定着させ、女子神学校としての活動を続けました。

その後も学校は運営を続け、1964年には山口昇が校長に就任し、1975年には森和亮が理事長に就任するなど、指導体制の変更もありました。しかし、1976年、支援組織であったWUMS米国婦人一致伝道協力会がBMMF (Bible Medical Missonary Fellowship) と合併したことに伴い、それまでの財政的な支援が停止されるという困難に直面します。この状況を受け、TEAMという宣教団体と関係の深い東京基督教短期大学との合併を推奨されました。そして1977年、学校は横浜の地を離れ、東京都国立市谷保にある東京基督教短期大学の敷地内に移転することとなります。

新たな環境での運営が続きましたが、学校の歴史は終局を迎えることとなりました。1979年4月に最後の卒業生4名を送り出した後、学校の運営は一年間、実行委員によってのみ続けられました。そして1980年3月末をもって、共立女子聖書学院は閉校しました。しかし、その「共立」という名称や、築き上げてきた伝統、資産、そして育成に携わってきた人材は、同年新たに設置された共立キリスト教研究所へと引き継がれることとなりました。この研究所は翌1981年に共立基督教研究所と改称し、1990年には東京基督教大学の開校とともに、同大学の付属研究所となりました。共立女子聖書学院のスピリットと人材は、東京基督教大学と同大学附属共立基督教研究所に受け継がれ、現在に至っています。

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