兼用工作物

兼用工作物について

兼用工作物（けんようこうさくぶつ）とは、公共用の道路や河川などが本来の目的を果たしつつ、他の施設ともその機能を共用する工作物を指します。これは、公共物として管理することが求められるため、各種の法律に基づき定義されています。

概要

道路法や河川法などの公物法によって、それぞれの公共用物の定義や管理方針が定められています。しかし、都市公園が街路と連動している場合や、堤防上に道路が設置されている場合など、個別に管理を行うことはしばしば非効率となります。このため、兼用工作物として一体的に管理されることが求められています。

互いに効用を持つ工作物同士が連携することで、管理方法や経費も検討されることが可能となります。こうした協議のスムーズな実施は、公共の利益のために不可欠です。

協議の対象

すべての公共用物が必ず他の工作物と兼用できるわけではなく、それぞれの法律によって対象とされる施設が限定されています。兼用工作物は、当初からその目的で設計されている必要はなく、一度設置された設備が後に他の機能を兼ねることもあるため、柔軟な運用が可能です。

管理協定は、主たる工作物の管理者と他の工作物の管理者が対等な立場で協議し、合意に基づいて締結されます。この合意の内容は、官報などで公示されることが一般的です。

各法律による規定

港湾・漁港

まず、港湾法は1950年に制定され、最初は兼用工作物に関する明記はありませんでしたが、1951年に規定が追加されました。港湾工事とその費用負担については、港湾管理者と他の工作物の管理者が協議します。同様に、漁港漁場整備法においても、漁港施設が他の工作物と効用を共有することが可能です。

道路とその他の工作物

次に道路法により、堤防やダム、鉄道橋などが兼用工作物として扱われます。協議には新設や改築に関する事実行為を含むほか、期間の設定や許可の申請もあります。

都市公園

都市公園法の改正により、1976年に他の工作物との兼用が認められ、河川や道路が都市公園と兼用として活用されています。公園管理者と他の管理者との協議により、経費の負担等も決定されます。

空港

2008年に改正された空港法でも兼用工作物に関する規定があり、拠点空港や地方管理空港が他の施設と効用を果たす場合は、管理者間で協力して管理されます。

海岸・津波防護

海岸法に則って、海岸保全施設が他の施設と協調して機能する場合は、協議によって工事や維持が可能です。同様に、津波防護のための施設についても、相互に活用されるべきとの考えから規定されています。

下水道

下水道に関しても、公共下水道施設が他の公共施設と協力して効用を兼ね得る場合には、その維持や工事を行うことが認められています。

特殊な例

ハイウェイオアシス等、特殊なケースも存在し、高速道路のサービスエリアを都市公園と兼用する事例も見られます。

まとめ

以上のように、兼用工作物は公共の利益に寄与する重要な枠組みとなっています。各法律によって異なる取り扱いがあり、効率的な管理が求められる中、適切な協議と合意形成は必要不可欠です。

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