内宴

内宴について

内宴（ないえん）は、平安時代に宮中で開催されていた私的な宴会のことを指します。この行事は、特に1月下旬に内裏で行われ、天皇が参加する貴族たちをもてなす役割を果たしました。内宴は中国（唐）の風習に影響を受け、嵯峨天皇の時代に始まったとされていますが、具体的な始まりの時期については諸説があります。例えば、大同4年（809年）や弘仁3年（812年）などの記録があり、その年によって異なる解釈がなされてきました。

当初は特定の日取りは設けられていませんでしたが、仁明天皇の時代以降、原則として1月21日に開催されるようになりました。ただし、1月22日または23日が“子の日”に該当した場合は、その日に行われることもありました。この変更が行われた背景には、新年に関連する儀式が一段落し、天皇が関わった貴族たちを労う意味があったと言われています。

内宴は、特別な儀式として位置づけられ、当日は天皇が仁寿殿の南面東廂に出御し、三献の儀を執り行いました。続いて、文人による詩の発表や、内教坊の舞姫たちによる楽舞の披露がありました。これらの文化的な表現には、貴族たちに対しての感謝や祝福が込められていたと考えられています。また、続く後宴では仕女や采女が食事を提供し、華やかで賑やかな宴が催されました。

しかし、内宴は後一条天皇の長元7年（1034年）を最後に中絶し、その後は保元3年（1158年）に信西によって再興されました。しかし、翌年に発生した平治の乱によって信西政権が崩壊し、結果的に内宴は再び中止され、以後再興されることはありませんでした。このように内宴は平安時代の宮中行事の一環として重要な役割を果たしましたが、時代の変遷によってその開催は途絶えてしまいました。

内宴に関する文献は多数存在し、特に倉林正次の『国史大辞典』、山中裕の『日本史大事典』や『平安時代史事典』、佐多芳彦の『日本歴史大事典』などが参考として挙げられています。これらの資料を通じて、内宴が当時の宮中生活や文化に与えた影響を知ることができます。内宴は、現代の私たちにとっても平安時代の貴族文化や天皇の権威を理解する貴重な手がかりとなっています。

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