内山尚三

内山尚三（1920年7月5日 - 2002年12月14日）は、日本の著名な法学者であり、民法と労働法を専門としていました。法学博士の学位を持ち、法政大学と札幌大学で名誉教授の称号を得ています。彼の研究は、建設業における労働関係や請負契約に焦点を当て、国の様々な審議会で重要な役割を果たしました。その貢献が認められ、正五位勲三等瑞宝章を受章しています。

生い立ちと学歴

内山尚三は、新潟県柏崎市で生まれました。東京府立六中学校（現在の都立新宿高等学校）を1938年に卒業後、1947年に東京帝国大学法学部政治学科を卒業しました。彼の学問的なキャリアは、ここで確固たる基礎を築きました。

職歴と業績

1948年、内山は中央職業安定審議会土建部会専門委員長に就任し、建設業界における労働問題の専門家としてのキャリアをスタートさせました。1949年4月には法政大学法学部の助教授となり、1959年7月には教授に昇進しました。その後、1966年に建築審議会委員、1967年には中央建設業審議会法制部会専門委員長を歴任し、建設業界の法制度の整備に尽力しました。

1970年には法政大学法学部長、1973年には法政大学大学院議長を務め、教育者としての才能も発揮しました。1987年からは世界平和アピール七人委員会委員として、社会的な活動にも積極的に参加しました。1989年に法政大学を退職し名誉教授となった後、札幌大学法学部長、1991年から1995年まで札幌大学学長を務めました。1996年には札幌大学名誉教授となり、札幌大学大学院法学研究科の客員教授も務めました。1998年には叙勲三等瑞宝章を受章し、2001年に札幌大学を退職、2002年に叙正五位となりました。

研究領域

内山尚三の研究は、民法の請負契約や建設業法に重点を置いていました。特に、民法の請負の観点から不動産取引法や労働法も研究領域とし、これらの分野における法理論の発展に大きく貢献しました。彼の研究は、単に法律の解釈にとどまらず、建設業界の実態を踏まえた実践的な視点も持ち合わせていました。

著書

内山尚三は、多数の著作を通じて、彼の研究成果を社会に発信しました。

『建設労働論 上』（1963年）
『家父長制労働論（上）』（1965年）
『現代建設請負契約法』（1973年）
『転換期の建設業』（1974年）
『建設業の明日を探る 内山尚三対談座談集』（1978年）
『請負 叢書民法総合判例研究 33』（1978年）
『よくわかる建設業法の要点 建設業実務に活かす正しい法知識』（1982年）
『談合問題への視点』（1982年）
『建設労働論』（1983年）
『建設業法の要点』（1982年初版、1989年新版）
『民法5 債権各論』（1990年）
『債権各論講義』（1999年）
『内山尚三遺稿集』（2004年）

また、共編著として、

『民法（6）契約各論』（1970年初版、2002年第4版増補補訂版）
『不動産取引の基礎』（1976年）
『建設産業論』（1983年）
『建設業の課題と展望 共同探求』（1983年）

などがあります。

記念論集

内山尚三の功績を記念して、以下の論集が刊行されました。

『現代民法学の基本問題』（1983年）
『現代民事法学の構想 内山尚三先生追悼』（2004年）

これらの論集は、彼の研究がいかに後世に影響を与えたかを物語っています。

家族

妻の章子は政治家・鶴見祐輔の次女であり、内山家は政治家や学者といった著名な人物と姻戚関係にありました。義祖父には政治家の後藤新平、義姉には社会学者の鶴見和子、義兄には哲学者の鶴見俊輔がいます。

関連人物

広井忠男 - 著作家、政治家。内山と同じ新潟県柏崎市出身で、高校の後輩にあたります。
柴野たいぞう - 政治家、実業家。広井忠男と同様に同郷かつ高校の後輩です。

内山尚三は、法学研究者としてだけでなく、教育者、社会活動家としても多岐にわたる活躍を見せました。彼の研究は、現代の法制度や社会構造の理解に不可欠なものであり、その業績は今日においても高く評価されています。

参考文献

小谷野敦 著 『日本の有名一族 近代エスタブリッシュメントの系図集』 (2007)

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