内川芳美

内川芳美の生涯と業績

内川芳美（うちかわ よしみ、1926年8月28日 - 2004年11月17日）は、日本のマス・コミュニケーション研究の先駆者として知られる研究者です。彼女は佐賀県に生まれ、1948年に東京大学法学部を卒業しました。その後、大学院に進学し、当時の著名な学者岡義武の指導を受けることになりました。1949年には東京大学新聞研究所が設立され、内川はその助手として採用されました。

彼女のキャリアは順調に進み、1954年には助教授に昇進し、1964年には教授に就任しました。1971年から1974年にかけては、新聞研究所の所長を務め、1987年に定年退官するまでの間に多くの研究成果を残しました。退官後は東京大学名誉教授の称号を受け、その後、成蹊大学文学部の教授となり、文学部長を務めました。1995年に成蹊大学を退職するまで、彼女の研究活動は絶えず続きました。

業績と受賞歴

内川の研究分野は主にマス・メディア史やマス・コミュニケーション史で、特に彼女の著作『マス・メディア法政策史研究』（1989年）は、その分野での重要な業績として評価されてきました。また、放送制度についても多くの研究を行い、2004年にはNHK放送文化賞を受賞しました。この受賞理由には「『20世紀放送史』編集への指導・助言」が挙げられています。

内川は学問だけでなく、映画倫理管理委員会の委員や放送文化基金の理事、日本放送協会の監事など、さまざまな公職も務めました。彼女の多岐にわたる活動は、マス・コミュニケーションの発展に寄与しました。

内川芳美基金

内川の死後、日本マス・コミュニケーション学会は彼女の遺志を受け継ぎ、「内川芳美基金」を設立しました。この基金は、優れたマス・メディア研究の著作に対して、隔年で「内川芳美記念マス・コミュニケーション学会賞」を贈る仕組みになっています。これにより、内川の業績と理念が現代にも引き継がれ、後進の研究者たちに影響を与え続けています。

代表的著作

内川の代表的な著作には、以下のような作品があります。

• - 『マス・メディア法政策史研究』（有斐閣、1989年）
• - 翻訳『マス・コミの自由に関する四理論』（シーバート、ピータスン、シュラム著、東京創元社、1959年）
• - 『現代史資料40・41 マス・メディア統制 I・II』（みすず書房、1973年・1975年）

内川の研究と著作は、マス・コミュニケーションの歴史を知る上で欠かせないものとなっています。彼女の業績は、今後も学術研究やメディアの発展に大きな影響を与えることでしょう。

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