内海忠司

内海忠司（うつみ ちゅうじ）は、1884年12月3日に生まれ、1968年11月28日に没した、日本の内務官僚です。彼は台湾総督府においても重要な役割を果たし、台北市尹、新竹州知事、高雄州知事といった要職を歴任しました。彼の生涯は、日本の地方行政と植民地統治の歴史を深く理解する上で重要な手がかりとなります。

生い立ちと初期のキャリア

内海忠司は京都府出身で、1911年に京都帝国大学法科大学政治学科を卒業しました。その後、1913年に高等文官試験に合格し、官僚としてのキャリアをスタートさせます。初期には山形県東田川郡書記や山形県属として地方行政に携わり、その後沖縄県警部、同島尻郡長、香川県視学官といった役職を歴任しました。さらに、青森県理事官、島根県警察部長、群馬県警察部長、佐賀県警察部長、愛媛県内務部長、佐賀県内務部長と、内務省の地方官僚として様々な地域で経験を積みました。

台湾総督府での活躍

1928年、内海忠司は台湾総督府に転じ、台北州警務部長に就任しました。その後、台南州内務部長、台北市尹を経て、1932年には新竹州知事に昇進しました。この期間、彼は台湾の地方行政に深く関わり、その手腕を発揮しました。新竹州知事の後は、高雄州知事に転じ、さらに台湾の行政に貢献しました。これらの経験を通して、内海忠司は台湾の社会構造や政治状況に対する深い理解を培ったと考えられます。

退官後の活動

官僚を退いた後は、（株）南日本化学工業の常任監査役を務めました。この役職は、彼の行政官としての経験が、民間企業においても活用されたことを示しています。

研究資料としての価値

内海忠司の生涯は、彼の残した日記を通じてより詳細に知ることができます。『内海忠司日記 1928-1939　帝国日本の官僚と植民地台湾』と『内海忠司日記 1940-1945　総力戦体制下の台湾と植民地官僚』は、近藤正己、北村嘉恵、駒込武によって編纂され、それぞれ2012年と2014年に京都大学学術出版会から出版されました。これらの日記は、当時の官僚の視点から見た植民地統治の実態を伝える貴重な資料であり、歴史研究において重要な役割を果たしています。

参考文献

内海忠司に関する情報源として、以下の文献が挙げられます。

帝国秘密探偵社編『大衆人事録 第3版』帝国秘密探偵社、1930年。
人事興信所編『人事興信録 第10版（上）』人事興信所、1934年。
* 人事興信所編『人事興信録 第14版（上）』人事興信所、1943年。

これらの文献は、内海忠司のキャリアや人物像を理解する上で役立つでしょう。内海忠司の生涯は、地方行政官から植民地統治に関わった官僚へと変化し、その経験は現代の研究者にとっても重要な意味を持つものです。

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