内田吟風

内田吟風：日本の東洋史研究に貢献した学者

内田吟風(1907-2003)は、20世紀を代表する日本の東洋史学者の一人です。神戸大学名誉[[教授]]の称号を持ち、その業績は古代アジア遊牧民族史研究に大きな足跡を残しました。

学究の道の歩み

1907年、東京でドイツ語学者であった内田新也の次男として誕生しました。京都帝国大学文学部東洋史学科を卒業後、同大学で助手、東方文化研究所研究嘱託などを務め、学問の道を歩み始めます。その後、神宮皇學館大學助教授、姫路高等学校教授を経て、1949年には神戸大学文学部教授に就任。1956年には「古代アジア遊牧民族史の研究」で京都大学から文学博士号を授与されました。神戸大学では文学部長も務め、1971年に定年退官。その後も、佛教大学や龍谷大学教授として教壇に立ち続けました。1978年には、その功績が認められ、勲三等旭日中綬章を受章しています。

家族と周辺

内田吟風の家族には、学術界に貢献した著名人が多く含まれます。父は前述のドイツ語学者・内田新也、兄は理学博士で京都大学名誉[[教授]]を務めた内田洋一です。また、長男の内田有恆も京都大学農学部名誉[[教授]]として活躍しました。彼の妻の父は、歴史学者として知られる小葉田淳です。このように、内田吟風の家族には、学問を重んじる家風があったことがうかがえます。

研究と業績

内田吟風の研究は、古代アジア遊牧民族史に焦点を当てていました。特に、匈奴や鮮卑、柔然、突厥といった遊牧民族の社会構造、移動経路、国際関係などを詳細に分析し、その歴史像を明らかにすることに貢献しました。その成果は、数々の著書に結実しています。代表的な著書には、『支那歴史地理叢書 ;古代の蒙古』、『匈奴史研究』、『北アジア史研究 鮮卑柔然突厥篇』、『北アジア史研究 匈奴篇』などがあります。これらの著作は、現在でも東洋史研究において重要な参考文献として高く評価されています。さらに、彼は『騎馬民族史 正史北狄伝 1』の翻訳にも携わっており、日本の東洋史研究の発展に多大な貢献を果たしました。1978年には、彼の70歳を祝う記念論集『東洋史論集 内田吟風博士頌寿記念』が刊行されています。

まとめ

内田吟風は、優れた業績を残した日本の東洋史学者です。彼の研究は、古代アジア遊牧民族史の理解を深める上で重要な役割を果たし、後世の研究者たちに多大な影響を与えました。その学問への献身は、日本の東洋史研究史に燦然と輝く功績として、後世に語り継がれるべきでしょう。

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