内町 (高松市)

内町

香川県高松市の都心部に位置する内町（うちまち）は、郵便番号が760-0034の町丁です。この地域全体で住居表示に関する法律に基づく住居表示が実施されています。高松市役所からおよそ0.7kmという近距離にあり、県道159号高松港線と四国地方を代表する商業エリアである高松中央商店街に挟まれた、東西に細長い形状をしています。内町は、官庁街である丸の内にも隣接しており、その地理的な重要性がうかがえます。町の中央には高松三越があり、これを核として県道159号沿いには様々な商業店舗が並んでいます。また、東側はフェリー通りに面しており、こちらにも飲食店や商店が立地しています。周辺環境にも恵まれており、北側には観光名所であり緑豊かな史跡高松城跡玉藻公園、南側には活気ある高松中央商店街、西側には四国最大の業務地区である中央通り、東側には公共交通機関であることでん琴平線の片原町駅があり、利便性の高いエリアです。

2010年に行われた国勢調査によると、内町の人口は147人で、男性が61人、女性が86人でした。世帯数は62世帯、町の面積は約3万5861平方メートル、人口密度は約4099.1人/平方キロメートルとなっています。都市計画法に基づき、町内全域が容積率500%の商業地域に指定されており、都市機能が集積しています。町内の公立小学校・中学校の校区は、フェリー通りを境に東西で分かれており、1番から3番、6番から7番（フェリー通りより西側）は新番丁小学校と紫雲中学校の校区に、4番から5番（フェリー通りより東側）は小中一貫校である高松第一小学校・中学校の校区にそれぞれ属しています。

歴史

現在の内町は、江戸時代における「内町」の範囲から大幅に縮小されたものです。本来「内町」という名称は、高松城の総構え内部に広がる武士たちの屋敷地と町人地を総称して使われ始めました。特に、本町、鶴屋町、工町、魚屋町、内磨屋町といった五つの主要な町人地は「内町五町」と呼ばれ、城下町の商業活動の中心を担っていました。内町の名称が文献上で初めて確認できるのは古く、延宝5年（1677年）の記録に、城内内町の町年寄に関する記述が見られます。

江戸時代の内町は、高松城に近いため重要な武家屋敷が多く集まる地域でした。寛永17年（1640年）には108軒の侍屋敷が存在しましたが、その後松平氏が入城すると次第にその数は減少し、より高身分の武士や藩に関わる施設の屋敷へと変化していきました。享保3年（1718年）にこの一帯で発生した大火は内町に甚大な被害をもたらし、侍屋敷の過半数にあたる54軒が焼失。これを機に多くの武士が総構えの外へ移り住み、その跡地には藩の施設である大納戸や会所などが建てられました。また、町域の南端に架かっていた常磐橋は、高松城下の外とを結ぶ五街道全ての起点であり、陸上交通における極めて重要な結節点としての役割を果たしていました。

明治時代を迎えると、「内町」は町人地を除いた旧武家屋敷地のエリアを指すようになりました。廃藩置県の変革により、かつての侍屋敷地の多くは官公庁が集まるエリアへと性質を変えていきます。特に1871年に高松県が成立して以来、昭和20年の高松空襲で焼失するまでの約74年間、香川県庁舎が内町に置かれました。これに伴い、高松取締組、戸長事務所、松山始審裁判所高松支庁（現在の高松地方裁判所）、香川郡役所、高松郵便局（現在の高松中央郵便局）といった行政、司法、通信の中枢機能が集積し、四国地方における行政の中心地としての地位を確立しました。明治23年（1890年）2月15日には、城下町の各町が合併して高松市が誕生し、内町はその一部となりました。商業面では、昭和6年（1931年）に高松三越が開店。以降66年間にわたり、高松市内唯一の百貨店として、地域のステータスシンボルとなり、多くの買い物客で賑わいをみせました。

現代へと続く歴史の中で、昭和20年（1945年）7月4日の高松空襲は内町に大きな被害をもたらし、香川県庁舎もこの戦災で焼失しました。戦後の復興期を経て、県庁舎は仮庁舎から現在の場所に隣接する旧高松赤十字病院跡地へと移転します。焼失した旧県庁舎の跡地には、丸亀町商店街方面から現在の瀬戸大橋通りへと貫通する道路が整備され、敷地は東西に分断されました。その結果、西側には四国電力本社、東側には西日本放送本社が建設されました。町域の再編も進められ、昭和33年（1958年）には内町の北側の大部分が本町、玉藻町、丸の内、西の丸町、寿町一丁目、寿町二丁目といった周辺の町に編入され、さらに昭和39年（1964年）にも一部が本町に編入されました。これにより、かつて広大だった内町の領域は現在の狭い範囲に大幅に縮小されました。こうした変遷の一方で、地域に根差した取り組みも見られ、昭和63年度には同地区の北部コミュニティー広場が、その優れた整備が評価され手づくり郷土賞（小さなふれあい広場部門）を受賞しています。

主要施設

現在、内町には以下の主要施設などが立地しています。

NTT西日本高松北ビル
高松中央郵便局
* 高松三越

内町は、高松城下の中核から始まり、近現代においては県都の行政・商業の中心として、そして現代においてもその重要な機能を担い続ける、歴史的な深みと現代的な活力を兼ね備えた町と言えるでしょう。

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