内肛動物

内肛動物とは

内肛動物（ないこうどうぶつ、Entoprocta）は、動物門の一群であり、主にごく小型の固着性の生物から構成されています。この分類は、約150種が知られており、その中でも特にスズコケムシが知られていますが、一般的な知名度はそれほど高くはありません。内肛動物は海洋環境で多く見られ、淡水環境に生息する種もわずかに存在します。

概説

内肛動物は、単体または群体性の形態を持つ小型の生物であり、サイズは最大でも5mm以下に収まります。初期にはコケムシ類と分類されることがありましたが、現在では独立した群として認識されています。この名称は、肛門が触手冠の内側に位置することを指し、外肛動物とは対照的です。

形態

内肛動物の形態はおおよそ統一されており、本体（もしくは萼部）と茎部から構成されます。萼部には触手冠と内部臓器が含まれており、茎部はそれを支える役割を持っています。茎部は棒状やより複雑な形状を持つことがあります。また、単体で生息する個体は足盤を持ち、基盤に付着しますが、群体性の個体は走根を伸ばして新たな個体を形成します。

触手冠は一般的に萼部の上面に位置しており、少し斜めに傾いています。触手の配置は馬蹄形を成し、触手自体は長さや柔軟性において限界がありますが、表面には繊毛が密生しています。萼部の中央には口と肛門が存在しています。また、成育条件が厳しい場合、萼部は放棄されることがあり、良好な条件下では迅速に再生されることが観察されています。

内部構造

内肛動物の消化系はU字状をなしており、口から始まり、食道、膨らんだ胃、そして直腸へと続きます。体腔は間充織細胞で満たされています。排出系には一対の原腎管があり、生殖器も萼部に位置します。

生殖と発生

生殖方法は雌雄異体であり、雌の体内で発生が進行します。初期の幼生はトロコフォアに似た構造を持っています。しかし、大多数の内肛動物は無性生殖を通じて繁殖し、新しい個体を形成します。特に、群体性の種は走根を伸ばし、その先で新たな個体を形成し、単体性の種は萼部に新しい芽を生じます。

生態

これらの生物は主に海に生息し、汽水環境にも見られます。淡水に生息する種もわずかに存在します。彼らは触手冠を用いて濾過摂食を行い、固着性の動物として知られていますが、一部の種はゆっくりと移動することも可能です。

系統

内肛動物は最初、コケムシ類と同一視されていましたが、ニッチェによって肛門の位置を基に外肛類と内肛類に分類されました。後にコリによって曲形動物という名が提唱され、これは現在でも時折用いられます。系統的には、無体腔や偽体腔を有するため、外肛動物とは大きく異なると考えられていますが、分子遺伝学的な見地からは両者の近縁性も指摘されています。

分類

内肛動物の分類はおおむね4つの科に分けられ、これらの種は日本国内でも約30種が確認されています。これにより、内肛動物は固着性の微小な生物群の中でも独特な存在感を示しています。このように、内肛動物は見落とされがちな存在ではありますが、彼らの生態や形態は非常に興味深いものです。

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