内閣法

内閣法について

内閣法（昭和22年法律第5号）は、日本における内閣の組織、権限、行政事務の分担、そして各行政機関に対する指揮監督の基本原則を定めた法律です。内閣の活動を支える根幹となる法律であり、内閣官房が所管しています。

内閣法の構成

内閣法は全27条で構成されており、その主な内容は以下の通りです。

第1条（内閣の職権）

内閣は、日本国憲法第73条やその他の憲法規定に基づき、行政権を行使します。その際、内閣は国会に対して連帯して責任を負います。

第2条（内閣の構成）

内閣は、内閣総理大臣と、内閣総理大臣によって任命される国務大臣で構成されます。国務大臣の定数は原則として14人以内ですが、特別の場合には17人まで増員可能です。さらに、特別法の改正によって、一時的に増員されることもあります。例えば、復興庁設置法や国際博覧会推進特別措置法などによる改正で、2024年時点では最大19人まで増員されることがあります。

第3条（行政事務の分担管理）

各大臣は、法律の定めるところにより、主任の大臣として行政事務を分担管理します。

第4条（閣議）

内閣は、閣議を通じて意思決定を行います。閣議は内閣総理大臣が主宰し、重要政策の方針やその他の案件を発議できます。また、各大臣も内閣総理大臣に対して閣議の開催を求めることができます。

第5条（内閣総理大臣の任務）

内閣総理大臣は、内閣を代表して法律案や予算案を国会に提出し、一般国務や外交に関する報告を行います。

第6条（内閣総理大臣の指揮監督権）

内閣総理大臣は、閣議決定に基づいて、各行政機関を指揮監督します。

第7条（大臣間の権限に関する疑義）

大臣間の権限に関する疑義が生じた場合、内閣総理大臣が閣議を経て裁定します。

第8条（行政処分の停止）

内閣総理大臣は、必要に応じて行政機関の処分や命令を一時的に停止させることができます。

第9条（内閣総理大臣の代理）

内閣総理大臣が不在の場合、事前に指定された国務大臣が職務を代行します。

第10条（国務大臣の代理）

主任の大臣が不在の場合、内閣総理大臣または内閣総理大臣が指定した国務大臣が職務を代行します。

第11条（政令への委任）

政令は、法律の委任がない限り、国民に義務を課したり、権利を制限する規定を設けることはできません。

第12条（内閣官房）

内閣には、内閣官房が設置され、内閣の活動を円滑に進めるための事務を担います。

第13条（内閣官房長官）

内閣官房には、内閣官房長官が置かれ、国務大臣がその任にあたります。内閣官房長官は、内閣官房の事務を総括します。

第14条（内閣官房副長官）

内閣官房には、3人の内閣官房副長官が置かれ、天皇が認証する任免が行われます。

第15条（内閣危機管理監）

内閣官房には、内閣危機管理監が置かれ、内閣総理大臣の申し出により内閣が任免します。内閣危機管理監は、危機管理に関する事務を統括します。

第15条の2（内閣感染症危機管理統括庁）

内閣官房には、内閣感染症危機管理統括庁が置かれています。感染症危機管理に関する事務を担当し、内閣感染症危機管理監、内閣感染症危機管理監補、内閣感染症危機管理対策官が配置されています。

第16条（国家安全保障局）

内閣官房には、国家安全保障局が設置され、国家安全保障に関する事務を行います。国家安全保障局長と2名の国家安全保障局次長が置かれます。

第17条（内閣官房副長官補）

内閣官房には、3人の内閣官房副長官補が置かれ、内閣官房副長官を補佐します。

第20条（内閣人事局）

内閣官房には、内閣人事局が設置され、国家公務員の人事管理を行います。内閣人事局長は、内閣官房副長官の中から内閣総理大臣が指名します。

第21条（内閣総理大臣補佐官）

内閣官房には、最大5人までの内閣総理大臣補佐官を置くことができます。

第22条（秘書官）

内閣官房には、内閣総理大臣や各大臣に附属する秘書官を置くことができ、その人数は政令で定められます。

第23条（内閣事務官その他の職員）

内閣官房には、内閣事務官その他の必要な職員が配置されます。

第24条（内閣官房の内部組織）

内閣官房の内部組織は、政令（内閣官房組織令）で定められます。

第25条（内閣官房の主任大臣）

内閣官房の主任大臣は内閣総理大臣であり、内閣官房令を発することができます。

第26条（内閣官房の事務の分掌）

内閣総理大臣は、内閣官房の所掌事務の一部を管区行政評価局や沖縄行政評価事務所に分掌させることができます。

内閣総理大臣の指揮監督権は、行政各部に対する重要な権限です。ロッキード事件に関する裁判では、この指揮監督権が焦点となりました。最高裁判所は、内閣総理大臣が内閣の意思に反しない範囲で、各行政機関に対して指示や助言を行う権限を持つとの判断を示しました。

この判決は、内閣総理大臣の権限と責任の範囲を明確にする上で、重要な意義を持っています。内閣法は、内閣が国民の信頼に応え、効率的かつ責任ある行政運営を行うための基盤となる法律です。

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