円すいころ軸受

円すいころ軸受について

円すいころ軸受（えんすいころじくうけ）は、半径方向の力に加え、スラスト軸受の特性を持ち、軸方向の力も支持できる特殊な軸受です。英語ではTapered Roller Bearingと呼ばれることもあり、テーパーローラーベアリングという名称でも知られています。

構造の特徴

この軸受は、円すいの一部の形状を持つ内外の環状部品、「レース（race）」を中心に構成されます。円錐形のころがこれらのレースに挟まれている形態で、この円すいの頂点は軸受の中心軸上の一点に集まります。この独特な形状により、接触線を長く取ることができるため、点接触方式の玉軸受よりも遥かに大きな力を受けることが可能です。

また、ころとレースの接線上の速度が同じため、摩擦が発生しないという特性も持っています。一方、ころが回転せずに滑った場合には、摩擦が生じ、その結果摩耗が引き起こされます。この摩耗は各部品の性能を低下させるため、滑りのない運動がこの軸受の理想状態とされています。

内側レースにはガードがあり、回転モーメントによってころが外れることを防止します。また、円すいの角度が大きいほど、強い軸方向の力に耐えることができます。円すいころ軸受は三つの主要な部分に分かれ、外側のレース、内側のレース、ころと保持器に分けられます。特にコーンとカップという呼称が用いられることがあり、コーンは内側のレース部分、カップは外側のレースを指します。これらを組み付ける際には、軸方向に隙間が生じることが特徴です。

円すいころ軸受は、メートル単位系で製作され、その識別方法はISO 355で定義されています。

歴史的背景

円すいころ軸受の発明は1895年3月23日に遡り、アメリカのインディアナ州ウィルモットでジョン・リンカーン・スコットが馬車の車輪の効率向上を目指して特許を取得しました。その後1898年にはヘンリー・ティムケンが円すいころ軸受に関連する特許を取得し、これにより彼の会社は大きく成長することとなります。

当時、軸受構造は大きな技術の進化を必要としていましたが、ティムケンの発明によってこれが実現しました。彼が開発したカップとコーンの分離可能な構造は、軸方向と半径方向の力を均等に配分することが可能になり、その結果、摩擦が大幅に低減されることとなりました。これにより、古くから使われていた平軸受の限界を越えることができたのです。

用途

円すいころ軸受は多岐にわたる用途で利用されています。特に、2つの円すいころ軸受が背中合わせに組み合わされることが多く、これにより軸方向と半径方向の両方の力に耐えることが可能です。これらは特に、軽負荷で比較的低回転の用途に加え、耐久性が求められる重負荷の用途でも広く使用されます。農業や鉱業、建設機械などにおける車軸、歯車、エンジン、減速機など、さまざまな場面でその性能を発揮しています。

関連項目

• - 転がり軸受

円すいころ軸受は近代工業における重要な構造要素であり、機械の効率と耐久性の向上に寄与しています。

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