円唇中舌半狭母音

円唇中舌半狭母音（えんしんちゅうぜつはんせまぼいん）

円唇中舌半狭母音は、音声学における母音の分類の一つであり、半狭中舌円唇母音とも呼ばれます。この母音は、国際音声記号（IPA）において[ɵ]と表記されます。

発音の特徴

円唇中舌半狭母音の発音は、以下の特徴を持ちます。

舌の位置: 舌の中央部分が、口の奥に向かってやや盛り上がった状態で発音されます。これは、中舌の母音に共通する特徴です。
口の開き: 口の開き具合は「半狭」であり、完全な狭母音（例：[i]や[u]）と広母音（例：[a]）の中間に位置します。
唇の形: 発音時に唇を丸める（円唇化する）のが特徴です。

この母音は、中舌の基本母音[ʉ]の位置から、半狭母音の高さまで口を開けて発音される円唇母音として定義されます。

国際音声記号（IPA）

国際音声記号では、[ɵ]という記号で表されます。これは小文字の「o」に横棒を加えた形をしています。この記号は、この特定の音を表すために世界中で共通して使用されます。

言語例

円唇中舌半狭母音[ɵ]は、世界中の様々な言語に見られます。

トダ語: [pɵːr̘]（“名前”）
トダ語では、[ɵ]は[p]と[r̘]の間に現れます。発音記号の[: ]は長音を表し、[ ̘]は歯音化を表します。
モンゴル語: [xɵx]（“青い”）
モンゴル語では、[ɵ]は[x]（無声軟口蓋摩擦音）に挟まれた位置に現れます。
ロシア語: ещё (ješčó) [(j)ɪˈɕːɵ]（“まだ”）
ロシア語では、[ɵ]はアクセントの無い音節に現れます。発音記号の[ɪ]は非円唇前舌め広めの狭母音、[ˈ]はアクセント、[ː]は長音を示します。また、[j]は半母音/j/を表します。


これらの例から分かるように、[ɵ]は言語によって異なる音韻環境で使用されます。

関連事項

キリル文字 Ө: IPA記号の[ɵ]と同形・同音のキリル文字「Ө」が存在します。この文字は、主にモンゴル語やテュルク諸語で使用され、円唇中舌半狭母音を表します。例えば、モンゴル語の[xɵx]の表記に使われています。

まとめ

円唇中舌半狭母音[ɵ]は、音声学的に定義された特定の音であり、世界中の様々な言語において重要な役割を担っています。その発音は、舌の位置、口の開き具合、唇の形によって特徴づけられ、国際音声記号によって一意に表現されます。

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