円爾

円爾とは

円爾（えんに）、諡号としては聖一国師（しょういちこくし）と呼ばれる彼は、鎌倉時代中期の著名な臨済宗の僧侶です。駿河国（現在の静岡県）に生まれ、彼の生涯や功績は日本の禅宗の歴史において重要な位置を占めています。

生涯の概要

円爾は建仁2年（1202年）10月15日、駿河国安倍郡藁科村（今の静岡市葵区栃沢）に誕生しました。父は平氏で母は税氏の家系に属していました。幼少期から多くの学問に触れ、5歳で久能山久能寺の堯弁に師事し、弁円を名乗るようになります。弁円として『倶舎論』の詩的表現や註釈書に関する教えを受けつつ、禅の教えへと深く関与していく姿勢を見せました。

12歳になると、天台宗の聖典『法華経』についての註釈書『法華玄義』を学び、16歳の頃には、『摩訶止観』や『法華文句』を読みこなしました。18歳の時には、園城寺での得度と東大寺での受戒を経て、上野国長楽寺の栄朝、鎌倉寿福寺の行勇に師事して臨済禅を学びました。

宋への渡航

嘉禎元年（1235年）、円爾は宋へ渡り、無準師範から法を嗣ぎます。この時期、彼は自らの法号を円爾としました。円爾弁円という表記も存在しますが、道号を持たないためこの表記は正確ではありません。

帰国後の仁治2年（1241年）には、博多で承天寺を開き、その後京都へ移り東福寺を創建しました。彼は宮中で禅の教えを説き、臨済宗の普及に尽力しました。円爾は純粋な禅だけでなく、真言や天台といった他宗とも関わりを持ちながら、臨済宗を広めました。この成果により、東大寺大勧進職に就くなど、様々な宗派でも支持を受けました。

晩年と茶の栽培

後年、円爾は故郷の駿河国に戻り、安倍郡蕨野（現在の静岡市葵区蕨野）に医王山回春院を開設し、禅宗の流布を続けました。また、宋から持ち帰った茶の実を植えさせ、茶の栽培にも力を入れたため、彼は静岡茶（本山茶）発祥の祖として知られています。「医王山回春院」という名は茶の持つ不老長寿の効能から取られ、毎年新茶が捧げられています。静岡市では、円爾の誕生日である11月1日を「静岡市お茶の日」と定め、茶業振興に努めています。

死後の評価

円爾は応長元年（1311年）に没し、その後花園天皇より「聖一」の国師号を賜ります。彼の像は多く残り、特に南[[禅寺]]天授庵や万寿寺、東福寺などに重要文化財として権威を持つ作品が存在します。

円爾はまた、博多祇園山笠の起源ともされ、疫病流行時に水を撒きながら祈願したことから、この祭りが始まったと伝えられています。彼の影響は、宗教だけでなく、地域の文化や伝統に広がり続けています。

このように、円爾の生涯には多くの業績が残されており、彼の教えや行動は現代においても影響を与え続けています。

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