承天寺

承天寺（じょうてんじ）

承天寺は、福岡県福岡市博多区博多駅前に位置する臨済宗東福寺派の寺院です。博多旧市街に数多く存在する寺院の一つであり、その歴史と文化は博多の街と深く結びついています。

歴史

承天寺は、仁治3年（1242年）に、大宰少弐・武藤資頼が円爾（弁円、聖一国師）を招いて創建されました。創建にあたっては、謝国明をはじめとする多くの宋の商人が援助を行いました。寛元元年（1243年）には、官寺としての地位を確立しました。

伽藍

境内には、仏殿である「覚皇殿」、方丈、開山堂などの重要な建築物が配置されています。特に方丈の前には、「洗濤庭」と呼ばれる美しい石庭が広がっています。また、墓地には、新派俳優の川上音二郎や、宋で織物技術を学び博多織の創始者となった満田弥三右衛門らの石碑が建立されています（なお、満田弥三右衛門の墓所は聖福寺にあります）。

特筆すべきは、境内が市道によって北東と南西に分断されている点です。これは、昭和38年（1963年）の博多駅移転に伴う区画整理事業によって生じたもので、その結果、山門や仏殿は南西側に、本堂や墓地などは北東側に位置するという、独特な配置となっています。

博多千年門

平成26年（2014年）3月28日、承天寺通りに新たな博多のシンボルとして「博多千年門（せんねんのもん）」が完成しました。この門は、古文書に登場する博多の出入り口「辻堂口門」をモデルにしており、木造瓦ぶきの四脚門として建てられています。高さと幅は約8メートルで、博多の街の未来千年の繁栄を願って命名されました。承天寺の境内に挟まれた約150メートルの通りには、マツやモミジ、自然石が配置され、庭園のような趣が演出されています。扁額は太宰府天満宮の西高辻宮司による揮毫です。

文化財

承天寺は、数多くの文化財を所蔵しています。

重要文化財
木造釈迦如来及両脇侍像
絹本著色禅家六祖像 6幅
銅鐘（梵鐘） - 朝鮮鐘。清寧11年（1065年）の銘があります。

福岡市指定有形文化財
開山堂
唐門
鐘楼

その他

「饂飩蕎麦発祥之地」の石碑：円爾が仁治2年（1241年）に宋から持ち帰った製法が元になっています。承天寺には、詳細な製粉法を記した古文書「水磨の図」が残されています。
「御饅頭所」の石碑：円爾が宋から持ち帰った饅頭の製法を茶店に伝え、与えた看板（虎屋所蔵）の文字が彫られています。
「満田彌三右衛門之碑」：円爾と共に宋に渡り、織物、麝香、素麺、金箔、朱の製法を持ち帰った人物を称える碑です。
「山笠発祥之地」の石碑
「舊就義隊碑」：福岡藩兵の部隊履歴について記されています（荒井周大編『福岡県碑誌』福岡県碑誌保存會、昭和４年）。
「川上音二郎の墓所」：日本近代演劇の祖である川上音二郎の墓があります。

交通アクセス

福岡市地下鉄空港線祇園駅より徒歩3分（約250m）
西鉄バス緑橋バス停より徒歩2分（約130m）
福岡高速環状線呉服町出入口より1.3㎞

承天寺は、博多の歴史と文化を今に伝える重要な場所であり、訪れる人々に静寂と歴史の重みを感じさせてくれるでしょう。

脚注

関連項目

筥崎宮 - 聖一国師報賽式
武藤資頼
博多うどん
若八幡宮
祇園駅)
東長寺)（南岳山東長密寺）
聖福寺)（安國山扶桑最初禪窟聖福至仁禪寺）、護聖院、順心寺)、永寿院)、円覚寺)、節信院)、妙楽寺)、乳峯寺
博多旧市街
櫛田神社（櫛田大明神・祇園大明神）、大乗寺跡
冷泉公園
綱敷天満宮
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