寿福寺

寿福寺について

寿福寺（じゅふくじ）は、神奈川県鎌倉市扇ガ谷に位置する臨済宗建長寺派の寺院です。正式には亀谷山寿福金剛禅寺（きこくさん じゅふくきんごうぜんじ）と号し、鎌倉五山の中で第三位に数えられています。本尊は釈迦如来で、開基（創立者）は北条政子、開山（初代住職）は栄西です。また、鎌倉三十三観音霊場の第24番札所、鎌倉二十四地蔵の第18番札所でもあり、境内は「寿福寺境内」として国の史跡に指定されています。

歴史

寿福寺は、源頼朝が亡くなった翌年の1200年（正治2年）に、妻である北条政子が明菴栄西（みょうあんえいさい）を開山として招き創建されました。寺が建てられた場所は、源頼義が奥州へ向かう際に戦勝を祈願したという源氏山を背にした、亀ヶ谷と呼ばれる源氏ゆかりの地です。頼朝の父である源義朝の邸宅もこの地にありました。1180年（治承4年）に初めて鎌倉入りした頼朝は、当初この地に幕府を構えようとしましたが、岡崎義実がすでに堂宇を建て義朝の菩提を弔っていたことや、土地が狭かったため計画を変更したという経緯があります。

創建当時は七堂伽藍を擁し、14の塔頭を有する大寺院でしたが、禅寺としての体制が整ったのは1278年（弘安元年）頃とされています。1247年（宝治3年）と1258年（正嘉2年）には火災に見舞われ、特に1258年の火災では伽藍が一宇も残らず焼失しました。その後の復興は、伝実朝墓五輪塔の存在などから、南北朝時代頃に行われたと考えられています。寿福寺には、二世住職の退耕行勇（たいこうぎょうゆう）をはじめ、心地覚心（しんじかくしん）、円爾（弁円）（えんに（べんえん））、蘭渓道隆（らんけいどうりゅう）、大休正念（だいきゅうしょうねん）など、多くの名僧が入寺し、鎌倉の禅宗文化において重要な役割を果たしました。鎌倉初期には高い寺格を持って栄えましたが、『海道記』や『東関紀行』には、寿福寺についての記述が見られないのは興味深い点です。

境内

境内には、総門、中門、仏殿、庫裏（くり）、鐘楼などが建っています。現在の仏殿は1664年（寛文4年）に再建されたものです。境内裏手の墓地には、陸奥宗光（むつむねみつ）、高浜虚子（たかはまきょし）、星野立子（ほしのたつこ）、大佛次郎（おさらぎじろう）など著名人の墓があります。さらに奥のやぐら（鎌倉地方特有の横穴式墓所）には、北条政子と源実朝の墓と伝えられる五輪塔が安置されています。総門から中門までの参道と裏山の墓地は一般公開されていますが、中門から内側の境内は公開されていません。

墓所

寿福寺の墓所には、以下の著名人が眠っています。

高浜虚子
陸奥広吉（陸奥宗光の長男）
田邊新之助
大仏次郎
高島直一郎（高島小金治の長男）
山田忠澄

文化財

寿福寺は、数多くの文化財を所蔵しています。以下に主なものを挙げます。

国指定重要文化財

木造地蔵菩薩立像: 鎌倉時代に作られた一木造の像で、像高は167.5センチメートル。鎌倉国宝館に寄託されています。
銅造薬師如来坐像（鶴岡八幡宮伝来）: 鎌倉時代作の像で、像高は53.5センチメートル。もとは鶴岡八幡宮に安置されていたものが、神仏分離の際に寿福寺に移されました。左手に薬壺を持ち、運慶派仏師の影響がみられるとされています。
喫茶養生記 上・下: 明庵栄西の著で、鎌倉時代に書かれた茶書。茶の効能や製法について記されています。

国指定史跡

寿福寺境内: 境内全域が国の史跡に指定されており、2008年には後方の石切山の裾部のやぐら群が追加指定されました。

神奈川県指定文化財

木造栄西禅師坐像: 鎌倉時代作の一木割矧ぎ造の像で、像高は60.4センチメートル。鎌倉国宝館に寄託されています。
木造達磨大師坐像: 南北朝時代作の寄木造の像。
釈迦三尊像: 室町時代作の中尊が脱活乾漆造、脇侍が木造の像。

鎌倉市指定文化財

彫刻: 木造栄西禅師坐像、木造伽藍神倚像：3躯
建造物: 木造寿福寺仏殿
絵画: 絹本著色釈迦三尊十六善神像、紙本墨画白衣観音図
天然記念物: ビャクシン：4株

交通

横須賀線（JR東日本）・江ノ島電鉄「鎌倉駅西口」から徒歩15分です。

札所

鎌倉三十三観音霊場：第24番
鎌倉二十四地蔵霊場：第18番

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寿福寺は、鎌倉の歴史と文化を今に伝える貴重な寺院です。

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