円通寺 (大府市)

円通寺の紹介

愛知県大府市に位置する円通寺（えんつうじ）は、曹洞宗の寺院であり、瑞木山を山号としています。本尊は馬頭観世音菩薩で、名古屋市の春江院と宗派的な関係があります。この寺院は、知多四国霊場の88番札所や、知多西国三十三所霊場の25番札所など、数多くの霊場の一部としても知られています。特に、大府市で最も古い寺院とされ、長い歴史を有しています。

歴史

円通寺の創建は、天平元年（729年）に遡ります。この年、行基がこの地で馬頭観音の尊像を彫り、七堂伽藍を構築したとされています。これにより、「瑞木山」という山号が付けられ、寺号は「円通寺」と名付けられました。

中世の荒廃と再建

平安時代中期、東国で承平天慶の乱が発生すると、東方から進軍する兵士たちが円通寺に襲来し、火を放って僧侶を殺害しました。この結果、円通寺は七堂伽藍を失い、荒廃することとなります。嘉暦2年（1327年）には別当の長眞により再建が試みられましたが、建武2年（1336年）に建武の乱が起こると、再び火災に見舞われ、寺院は再度破壊されました。貞和4年（1348年）には臨済宗の高僧・夢窓国師がこの地にやってきて、尊像を安置し厨庫を建て、臨済宗の道場として再興されました。

近世の宗旨変更

文禄2年（1593年）には、曹洞宗の秀繁和尚を迎え入れて住職とし、臨済宗から曹洞宗へと宗旨が転換されました。以降、大高にある春江院の末寺として、現在に至るまで宗教的な重要性を保ってきました。円通寺では、法相宗や真言宗、臨済宗を経て、曹洞宗へと3回の宗旨変更が行われました。

境内の施設

円通寺の境内には、主要な建物として本堂、観音堂、庫裏、鐘楼が存在します。これらの建物は、寺院の歴史とともに変遷し、現在も多くの信者や訪問者に親しまれています。

文化財

円通寺は愛知県指定の有形文化財として認定されている木造毘沙門天立像や、大府市指定文化財の馬頭観世音菩薩立像、子安准胝観世音菩薩立像、不動明王立像、そして青銅鋳造の鰐口など、多くの文化財が存在します。中でも木造毘沙門天立像は鎌倉時代の作品であり、1967年と1981年にそれぞれ指定されています。

御詠歌

円通寺では「慈悲深き 大師の恵み 有難や 今日木之山に 法の花咲く」という御詠歌が詠まれています。この詩には、寺院の精神と信仰が色濃く反映されています。

現地情報

円通寺は愛知県大府市共和町小仏67に位置しており、JR東海道本線の共和駅から徒歩約15分の距離にあります。訪れる際にはアクセスが便利です。

円通寺の長い歴史と文化的な価値は、今後も多くの人々に感動を与え続けることでしょう。

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