建武の乱

建武の乱：室町幕府成立への道

建武の乱は、建武2年（1336年）から延元元年（1336年）にかけて、後醍醐天皇の建武政権と足利尊氏ら足利氏の間で繰り広げられた一連の戦いの総称です。この戦いは、鎌倉幕府滅亡後に成立した後醍醐天皇による建武政権の崩壊を招き、足利尊氏による室町幕府の成立へと繋がりました。また、後醍醐天皇が吉野に南朝を樹立したことで、南北朝時代という新たな内乱の時代が幕を開けました。

建武の乱に至るまでの経緯

後醍醐天皇は、倒幕運動を経て鎌倉幕府を滅亡させ、建武の新政を開始しました。足利尊氏は、倒幕の功績により重用されましたが、新政権との距離を置くようになります。その頃、護良親王は尊氏の排除を計画しますが、逆に幽閉されてしまいます。

建武政権は混乱を極め、人々の反発を招きました。建武2年（1335年）には、北条氏残党による中先代の乱が発生し、尊氏は鎮圧のために鎌倉へ向かいます。しかし、後醍醐天皇は尊氏の征夷大将軍就任を認めず、討伐を命じました。これにより、建武の乱が勃発したのです。

建武の乱の経過

建武2年12月、足利尊氏は新田軍を破り京都へ進軍を開始。光厳上皇と連絡を取り、新田義貞討伐の院宣を得ようとします。翌年1月には入京を果たしますが、奥州から上洛した北畠顕家や楠木正成、新田義貞らの攻勢に晒されます。一度は敗北し九州へ落ち延びるも、少弐頼尚らの協力を得て勢力を盛り返し、再び京都を目指します。

湊川の戦いでは、足利軍が新田・楠木軍を破り、楠木正成は自害に追い込まれます。後醍醐天皇は比叡山に籠りますが、足利軍の接近により京都へ戻り、花山院に幽閉されます。その後、光明天皇への神器譲与を強要され、太上天皇の尊号を贈られました。しかし、後醍醐天皇は花山院を脱出し、吉野にて南朝を樹立、尊氏討伐を命じました。

南北朝の分裂とその後

後醍醐天皇が吉野に南朝を樹立したことで、日本は北朝と南朝に分裂し、約60年にわたる南北朝時代を迎えます。この内乱は、明徳3年（1392年）の明徳の和約によって一旦終結しますが、その後も後南朝の動きが見られました。後南朝は、室町幕府によって根絶の方針が示され、嘉吉3年（1443年）には禁闕の変を引き起こしましたが、長禄の変（1457年）での敗北により、実質的に滅亡しました。

名称について

この一連の戦いは、一般的に「建武の乱」と呼ばれます。これは、軍記物『太平記』にも記述が見られるように、当時から使用されていた名称です。一方で、建武政権によって「延元」への改元が行われたことから、「延元の乱」と呼ぶ辞典もあります。

建武の乱は、日本の歴史において大きな転換点となりました。この戦いを通じて室町幕府が成立し、南北朝時代という新たな時代が始まったのです。

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