円隆寺 (舞鶴市)

円隆寺の概要

円隆寺（えんりゅうじ）は、京都府舞鶴市の引土に所在する真言宗御室派の寺院であり、愛宕山の山すそに位置し、西舞鶴市街の美しい景観を一望できます。この寺院の山号は慈恵山（じけいさん）で、その名の通り、訪れる人々に慈しみと恵みをもたらす場所として親しまれています。

歴史

円隆寺は、長徳年中（995 - 999年）に開創されたと伝えられており、寺の記録である『慈恵山記』にその起源が記されています。かつては70もの院坊を有しており、活気に満ちた寺院でしたが、文治4年（1595年）の山崩れにより多くの堂宇が失われてしまいました。その後、江戸時代には田辺藩の藩主、牧野家の支援を受けて再興を果たしましたが、万治2年（1659年）や享保17年（1732年）に再び火災に見舞われ、残った建物はその後の再建によるものです。

特に享保17年の大火では、寺院の主要な建物が全て焼失しましたが、幸いにも多くの仏像は信者によって救出されたと言われています。このため、現在も平安時代や鎌倉時代に作られた貴重な仏像群が残っており、中でも「丹後大仏」と称される阿弥陀如来坐像などが訪れる人々を魅了しています。

境内の建物

現在の本堂や多宝塔、総門などは18世紀末までに再建されたもので、地元の職人、林田伝之丞房章による手腕が活かされています。特に多宝塔は、亀腹を瓦葺きに仕立てたユニークな構造を持ち、その独創性が高く評価されています。また、総門は三つ棟造りで、前後に四天王像が安置されている珍しいデザインです。境内には愛宕山の山頂へと続く散策路もあり、訪問者に自然とのふれあいを提供しています。

主な建物

• - 本堂：江戸時代中期に再建された入母屋造の建物です。
• - 多宝塔：宝暦元年（1751年）に建立され、三間多宝塔の形状を持ちます。
• - 鐘楼：宝暦10年（1760年）に作られた入母屋造の建物です。
• - 鎮守堂：元文2年（1737年）の建立で、一間社流造の形式をとっています。
• - 総門：宝暦3年（1753年）に建てられた八脚門です。

文化財

円隆寺は、数多くの文化財を抱えています。中でも、木造阿弥陀如来坐像、薬師如来坐像、釈迦如来坐像などの重要文化財が平安時代から存在し、1926年4月19日に国の指定を受けました。また、木造不動明王立像や毘沙門天立像も同日に重要文化財として指定されています。さらに、本堂、多宝塔、鐘楼、鎮守堂、総門の5棟は、1984年に京都府の有形文化財として指定されています。

これらの文化財は、日本の歴史を語る重要な存在であり、多くの人々にとって貴重な学びや癒しの場となっています。円隆寺は、ただの寺院ではなく、歴史と文化が息づく場所として、多くの人々に感動を与え続けています。

基本情報

• - 所在地：京都府舞鶴市引土72
• - 交通アクセス：JR舞鶴線及び京都丹後鉄道宮舞線の西舞鶴駅から徒歩約10分

周囲には朝代神社、本行寺、桂林寺、瑞光寺といった他の歴史的な名所も点在し、訪れる人々にとっては一日中楽しむことのできるエリアです。

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