再使用可能実験宇宙機

再使用可能実験宇宙機

概要

「再使用可能実験宇宙機」は、中華人民共和国が開発を進めている先進的な宇宙往還機、いわゆるスペースプレーンの一種です。その計画は高度な機密に包まれており、開発の詳細や将来的な打ち上げスケジュール、さらには機体の外観を示す公式な画像などはほとんど公開されていません。

中国航天科技集団（CASC）の関係者である陳洪波氏は、2017年のインタビューにおいて、2020年に最初の飛行を行う計画である中国の宇宙機が、最大で20回の再利用が可能となる見込みであると語っています。これは、本機が目指す高い再使用性を強く示唆する発言と受け止められています。

2022年8月には、本機の打ち上げに使用されたと考えられる長征2号FTロケットのフェアリング（ロケットの先端部分を覆い、ペイロードを保護するカバー）の残骸が、河南省の吉安市にある中学校で展示される機会がありました。このフェアリングには、特徴的な形状の突起部が確認されており、専門家の間では、これが機体の翼を収容するための構造であった可能性が高いと推測されています。

また、本機は中国が進める一連の宇宙往還技術開発計画である「神龍計画」の一部を構成しているのではないか、という指摘も複数の情報源からなされています。「神龍計画」自体も詳細が明らかにされていませんが、中国が再使用型宇宙輸送システムに積極的に取り組んでいることを示しています。

歴史

本機の開発に関連する動きとしては、2016年に新疆ウイグル自治区ロプノール地域において、全長約5キロメートルにも及ぶ長大な滑走路が建設されていることが衛星画像などで確認されています。このような長大な滑走路は、スペースプレーンのような水平着陸を行うタイプの宇宙機にとって不可欠なインフラであり、本機の将来的な運用拠点となる可能性が指摘されています。

そして、開発計画において大きな節目となったのが、2020年9月4日に実施された最初の飛行試験です。この初飛行では、改進型（改良型）の長征2号FTロケットを用いて、酒泉衛星発射センターから打ち上げられました。機体は軌道上に約2日間滞在した後、地球に帰還し、試験を成功裏に終えたとされています。

2022年8月26日には、2回目となる飛行試験が行われました。これも同じく酒泉衛星発射センターからの打ち上げでした。注目すべき点として、中国の公式発表や新華社通信の報道では、前回の初飛行で使用された機体が再利用されたことが示唆されており、再使用型の宇宙輸送技術における中国の「飛躍的な進歩」として高く評価されました。これは、本機が実際に複数回使用可能であることを示す重要な成果と見なされています。

本再使用可能実験宇宙機は、過去に開発されたアメリカのスペースシャトルや、現在運用されているX-37Bのような再使用型宇宙往還機、スペースプレーンといった先進的な航空宇宙機開発の系譜に連なるものと考えられており、その今後の進展が注目されています。

関連項目

• - スペースシャトル
• - スペースプレーン
• - X-37B
• - 再使用型宇宙往還機

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