冥王星族

冥王星族（プルーティノ族）とは

冥王星族（Plutino）とは、太陽系外縁部、エッジワース・カイパーベルトに位置する天体群で、特に冥王星と似た軌道を持つものを指します。これらの天体は、海王星と3:2の軌道共鳴という特別な関係にあり、その公転周期は海王星の約3分の2（243年から253年）です。

この共鳴関係とは、海王星が太陽を2周する間に、冥王星族の天体が3周するというものです。このため、海王星の重力の影響を強く受け、安定した軌道を持つことができます。冥王星族は、カイパーベルトの内縁部を構成しており、既知のカイパーベルト天体の約5分の1を占める重要なグループです。

確認されているだけでも92個の天体が存在し、さらに104個の存在が示唆されています。これらの天体は、カイパーベルトの構造や形成過程を理解する上で重要な手がかりとなります。

発見の歴史

冥王星とカロンを除くと、最初の冥王星族として発見されたのは1993 ROで、1993年7月16日に発見されました。この発見以降、多くの冥王星族天体が発見されており、現在も研究が進められています。

冥王星族の定義

冥王星自身も軌道の性質が同じであるため、冥王星族に含めることは非常に便利です。しかし、英語表記では「plutino」という言葉が「小さな冥王星」という意味合いを持つため、冥王星を含めるべきではないという意見もあります。

冥王星族の軌道の特徴

冥王星族の天体は、軌道傾斜角が10度から25度、離心率が0.2から0.25程度であることが多いです。これにより、近日点は海王星の軌道と交差するか接する程度になり、遠日点はカイパーベルトの外縁に達します。

しかし、冥王星族の中には、極端な軌道を持つ天体も存在します。

2005 EK298: 軌道傾斜角が約40度と、冥王星族の中で最も傾いた軌道を持つ天体です。
2003 QV91: 離心率が約0.35と非常に大きく、最も扁平な軌道を持つ天体です。近日点は天王星と海王星の中間あたり、遠日点は散乱円盤天体の領域にまで達します。
* (119951) 2002 KX14: 離心率が約0.046とほぼ円軌道で、黄道面に近い軌道を持つ天体です。

これらの極端な軌道を持つ天体は、冥王星族の多様性を示すとともに、過去の天体衝突や重力相互作用などの痕跡を物語る可能性があり、研究対象として注目されています。

まとめ

冥王星族は、海王星との共鳴関係を持つ特異な天体群であり、その軌道特性は太陽系の外縁部の形成過程やダイナミクスを理解する上で非常に重要です。今後も新たな発見や観測によって、冥王星族についての理解がより深まることが期待されます。

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